田中希実“圧巻の6連覇”のウラ側で…「世界大会入賞→米の名門大へ異例の進学」19歳になった元“天才女子高生ランナー”のいま「時間はかかるけど…」(Number Web)
澤田は浜松市立高校時代の2022年に2年生ながら女子1500mで高校歴代2位(当時)の記録を叩き出した逸材である。 同年のU-20世界選手権では、アフリカ勢を相手に1500mで6位入賞という結果も残している。高校から陸上を本格的にはじめた澤田にとって、わずか競技歴1年半での快挙だった。日本選手権でも高校時代の2022年、2023年の2度、決勝まで進出している(両大会とも10位)。 U-20世界選手権後には、大会での積極的な走りを評価した複数の米国の大学からスカウトが舞い込んだ。 結果的に澤田は昨年9月から、MLBやNBA、NFLでもドラフト上位選手を毎年、多数輩出する米国スポーツ界の名門大・ルイジアナ州立大(LSU)へと進学した。これまで女子のトップランナーが海外大へ進学を決めたケースはほぼない中で、異例の決断だった。 「U-20世界選手権で結果が出たことで、田中さんややり投の北口(榛花)さんの話を聞く機会があって。そういう中で自分も『世界を舞台に活躍したい』という思いが強くなった。それならアメリカに行こうと思って決めました」
LSUは陸上競技の世界でも世界的な有名選手も多く、この9月の東京世界陸上の主役候補の1人で、男子棒高跳の世界記録保持者でもあるアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)もOBのひとりだ。 もちろんそんな強豪大……しかも海外ともなれば、生活ひとつとっても決して簡単ではない。 「いまでも慣れないことは多くて、大変なことも多いです。でも、周りの人に恵まれたおかげでなんとかやれています。語学はもちろんですけど、渡米直後は食事が結構、大変でした。日本食で育っているので、食べ慣れなかったり、身体がちょっと変わったりして難しい部分もありました。 別にハンバーガーばっかり食べているわけじゃないのに、そもそも料理の油の量が全然、違うんですよ。久しぶりに会ったら母に『ちょっとふっくらしたね』とか言われたりして(笑)。そこからは少しずつ気を付けるようになりました」 そう澤田本人も苦笑する。 NCAA所属の大学では、学業成績が悪ければそもそも練習や大会への参加もできない。その意味で、競技面以外でも気を抜けない日々が続く。それでも、日本ではなかなか体験できないハイレベルなチームメイトとともに練習できる毎日には、大きな意義を感じているという。 「チームにオリンピックに出ているような人や、既に世界陸上の参加標準記録を切っているような人もいるので、そういう人と一緒にトレーニングできるのはすごく大きいかなと思います」 住まいもチームメイトと3人で、1部屋をルームシェアしているそうだ。 「1部屋といってもアメリカだと1人に1つ洗面台とバスルームと部屋があって、キッチンとリビングが共有みたいな感じなので、環境的には恵まれていますね」