3ミリのイヤホンで組織的なカンニングが判明~対策の限界を専門家が解説 #エキスパートトピ
英語の国際テスト「TOEIC」での組織的なカンニング事件が想像以上に大規模、かつ巧妙であったことが判明し、話題となっています。
「警視庁がその手口を明らかにしました。およそ3ミリの米粒ほどの小さい球体。この道具は先月7日、TOEICの試験場で中国籍の男女10人がカンニングしようとしたとして、警視庁に事情聴取された際に押収されたものです。 この金色の球体は“極小イヤホン”になっていて、耳の中に装着し、外からは見えないということです」
※TBS NEWS DIG Powered by JNN記事より
ココがポイント
相次いで発覚したTOEICの不正受験問題。警視庁がその手口を明らかにしました。出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/7/22(火)
試験を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は試験結果の無効や、5年間の受験資格剥奪を通知した。出典:マネーポストWEB 2025/7/19(土)
イヤホンは直径3ミリの金属製の球体で、耳の中に入れて骨伝導で音声を聞き、棒状の磁石で取り出すという。出典:毎日新聞 2025/7/22(火)
エキスパートの補足・見解
今回判明した、極小イヤホンそのものは別に新しいものではありません。
2010年代までTOEICなど英語民間試験は性善説に基づいていました。大学入試は2011年のネット投稿事件、2022年の共通テスト問題流出事件などを経て、厳格化しています。
一方、TOEICなど英語民間試験は大学入試に比べて、試験監督の数を含む監視体制がどうしても限界があります。試験監督の数を増やす、金属探知機を設置する、妨害電波を出すなどの対策は受験費用の値上げにつながり、ひいては受験者減少となりかねないからです。
外国人学生の受験を禁止するわけにもいきません。
だからと言って、民間団体の運営だから、と放置すると不正行為による受験者が増加していきます。
試験そのもの、ひいては日本の信頼性が失われることになります。
受験者数の多いTOEICやTOEFLなどの民間試験については国が不正対策に補助を出す必要があるでしょう。
全額でなくても一定額であれば、試験を運営する民間団体側は受験料を極端に値上げせずに済みます。試験の信頼性も担保できますし、大学入試などの不正対策向上にもつながります。
1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『就活まるごとガイド』(講談社)など累計35冊・68万部。 2025年秋に『採用のバカヤロー!』を刊行予定。
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