「うーん本当に甘い」金杉駐中国大使の食レポSNS、中国で人気上昇中…クセ強料理も平然と
【北京=東慶一郎、吉永亜希子】金杉憲治・駐中国大使(65)が、現地での文化体験をSNSで発信し、中国国内で話題を呼んでいる。クセの強い名物料理の食レポなどが人気となり、昨年4月から始めた中国のSNS・ 微博(ウェイボー) のフォロワーは、13日時点で5万5000人を超えた。大使館をあげて、中国人の対日感情改善につなげようと奮闘している。
湯圓を食べる動画の撮影に臨む金杉駐中国大使(1月24日、北京で)「うーん、本当に甘い。ゴマが入っています」。1月下旬、金杉氏は大使公邸で、もち米で作った団子「 湯圓(タンユエン) 」を数種類食べ、「やはり甘いのが好きです」とカメラに笑顔を見せた。
中国では、春節の締めくくりとなる 元宵節(げんしょうせつ) (旧暦1月15日の節句)に湯圓を食べる習慣があり、具材はゴマや小豆のほか、肉や野菜の入った塩味のものもある。元宵節の2月12日に動画を投稿すると、すぐに「当然甘いのがいいですよね」などとコメントがついた。
金杉氏は、2023年12月の駐中国大使着任後に微博の個人アカウントを開設し、昨年4月から投稿を始めた。日本の駐中国大使が個人SNSで本格的な発信をするのは初めての試みだ。
投稿内容のアイデアを出し合う大使館職員ら(昨年12月、北京で)=大原一郎撮影企画や動画の撮影・編集は大使館職員が行っている。中国人職員も交えて毎週会議を開き、真剣にアイデアを出し合う。太極拳体験や美術館訪問などテーマは様々だが、人気なのは「食」の企画だ。独特の酸味で知られる「豆汁」という北京料理を「普通ですね」と言いながら平然と飲む動画には、「私も無理なのに勇気がある」などと高評価がついた。
SNS発信を重視する背景には、近年の中国人の対日感情悪化がある。SNS上には誤った情報に基づく日本批判も多く、昨年は現地在住の日本人が犠牲になる事件も発生するなど深刻な問題となっている。大使が「顔出し」で発信することで、特にSNSの利用頻度が高い若者世代に働きかけたいとの狙いがある。
金杉氏は「批判の声もあるかもしれないが、私が北京生活を楽しんでいる姿が中国の皆さんに届き、少しでも日本人への親近感につながれば」と期待している。
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