耳垢のにおいがパーキンソン病の手がかりに?―最新研究が示唆する“においによる診断”の可能性(ヨガジャーナルオンライン)

これまで神経疾患のひとつであるパーキンソン病は、手足の震えや動作の遅れなど明らかな症状が出るまで診断が難しいとされてきた。そんな中、最新研究が“耳垢”に注目。耳垢のにおいを分析することで、パーキンソン病を高い精度で見分けられる可能性が示された。 〈画像〉耳垢のにおいがパーキンソン病の手がかりに? ■耳垢のにおいの変化は病気のサイン? 今回の研究は、アメリカ化学会の学術誌『Analytical Chemistry』に掲載されたもので、人工知能(AI)を使って耳垢の揮発性有機化合物(VOCs)を分析し、パーキンソン病の患者を94%の精度で識別できたと報告されている。パーキンソン病は、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなどが主な症状ですが、こうした変化が表れる頃には病気がかなり進行していることも少なくない。そのため、「もっと早く異変に気づければ」と感じる患者や家族も多いのが現状だ。この研究では、病気の進行によって体内の代謝が変化し、皮脂に含まれる成分、特ににおいを放つVOCsにも違いが出ることに着目した。とくに、耳垢は皮脂を多く含み、しかも耳の中にあるため外気の影響を受けにくく、成分が安定しているという特徴がある。 ■特定された4つのにおい成分 研究チームは、パーキンソン病と診断された108人を含む209人の耳垢を綿棒で採取し、成分を詳しく分析。その結果、次の4種類の化合物がパーキンソン病の患者で特徴的に増えていることがわかった。 エチルベンゼン 4-エチルトルエン ペンタナール 2-ペンタデシル-1,3-ジオキソラン これらは、神経の変性や体内の炎症、酸化ストレスといった病気の進行に伴って発生すると考えられている。このデータをAIに学習させたところ、病気の有無を94%の精度で判別する人工嗅覚システムが完成した。 ■皮脂の変化に気づいたら、気軽に相談を パーキンソン病の初期には、皮脂の分泌が増える傾向があるとも言われている。最近、肌がテカリやすくなった、頭皮が脂っぽくなった、フケが気になる……そんな変化に心当たりがある方もいるかもしれない。もちろん、こうした変化だけで病気を判断することはできないが、何となく以前と違うと感じたときは、年齢や体質のせいと決めつけず、かかりつけ医や神経内科に気軽に相談してみよう。早めに動くことで、もし病気だったとしても治療や対策が取りやすくなる。 ■日常のささいな変化に目を向けることは重要 今のところ、耳垢を使って病気を判定する市販の検査キットは存在しておらず、においで自分自身の健康状態を判断することも現実的ではない。ただ、「ちょっと最近、体の動きが鈍い」「字が小さくなった」「疲れやすくなった」といった日常のささいな変化に目を向けることは、誰にでもできる第一歩だ。また、今回の研究は中国の単一の医療機関で行われたものであり、今後はさまざまな人種や年齢層、症状の進行度を対象にした大規模な研究が必要とされている。研究チームも「この方法を、誰にでも使える診断ツールとして発展させていきたい」と説明している。 出典: Ear wax could offer clues of early Parkinson’s disease, study suggests Ear Wax Reveals Parkinson’s Disease Biomarkers Could ear wax help diagnose Parkinson’s disease?

山口華恵

ヨガジャーナルオンライン
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