あなたのお金をどうすべきか、トランプ氏の貿易戦争から身を守る方法
トランプ米大統領の関税が世界的な貿易戦争を招き、株価は急落。家電や自動車、スニーカー、食料品などあらゆる商品が値上がりする恐れがある中、消費者や個人投資家は自分のお金について、今何をすべきだろうか。
ここ数週間、S&P500種株価指数が2月に付けた最高値から下落する中、一般的な考え方は、海外資産をポートフォリオに加えるべきだというものだった。
また、関税が発動される前に急いで自動車などの大きな買い物をすべきだという助言もあった。
消費者にとっては難しい選択だ。値上がりする前に今購入するか、年内にリセッション(景気後退)が訪れる可能性を踏まえて貯金すべきか。
トランプ氏の関税と中国からの報復関税で、株価は世界的に急落し、市場には身を隠す場所がない。S&P500種は4日に6%下落し、ナスダック100指数は弱気相場入りした。
バンガード・グループなどのファイナンシャルアドバイザーは投資家に、自分自身でコントロールできることに集中し、パニックに駆られて慌てて判断を下さないよう助言した。
しかし、関税発表後に続いた相場下落の規模を無視することは困難だ。
GMOの資産配分共同責任者ベン・インカー氏は「これは市場が狂気じみた行動を取っているという問題ではない。世界が変わったのだ」と語った。「難しいのは、非常に高いレベルの不確実性があるからだ。この状況がいつまで続くのか、確実なことは何もない」と指摘した。
専門家によれば、個人が資産を守るためにまず行うべきなのはポートフォリオの確認だ。まだ行っていない場合は、自分が具体的に何に投資しているのかを確認しよう。
ここ数年、米国での投資はかなり単純だった。S&P500種は多少の変動はあったものの、おおむね上昇し続けた。
エンパワー・インベストメンツのチーフ投資ストラテジスト、マータ・ノートン氏は「長期にわたって分散投資が期待外れに終わっているため、多くの人が『必要なのはS&P500種だけだ』と言うが、分散投資は、今日の投資家にとって本当に有効だ」と話す。
分散投資
アドバイザーらが勧める分散投資先は以下の通り。
米国外の株式
- FBBキャピタル・パートナーズの調査ディレクター、マイク・ベイリー氏は、欧州、日本、カナダの株式を推奨
- ズマ・ウェルスの創業者テリー・スパース氏は、上場投資信託(ETF)を通じドイツと日本への投資を検討するよう勧める
高品質の債券
- ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同最高投資戦略責任者、エミリー・ローランド氏は投資適格社債と住宅ローン担保証券への投資を推奨
有望分野
- ツインフォーカスのマネジングパートナー、ジョン・パンテキディス氏は、米国および欧州の防衛株と原子力産業に収益機会があるとみている
買いだめ
自動車からノートパソコン、スポーツ用品に至るまで、幅広い消費財の価格が上昇する可能性が高い。カリフォルニア大学デービス校の経済学教授、キャサリン・ラス氏は、関税により米国の世帯は平均で少なくとも年間数千ドルの負担増になると試算した。
ノースカロライナ州立大学でサプライチェーンマネジメントを研究するロバート・ハンドフィールド教授は、値上げの全容が買い物客の目に触れるまでには少し時間があるだろうと言う。つまり、無理のない範囲であれば、今買い物をするのは良い考えかもれない。
ただ、ロック・ウェルス・マネジメントの創業者ベン・ラファリー氏は、金利はまだ高いのでローンを組む必要がある品目には注意が必要だとくぎを刺した。
原題:What to Do With Your Money Right Now as Tariffs Reshape Markets(抜粋)