米関税巡る表現4カ月ぶり変更、景気判断は据え置き=7月月例報告
[東京 29日 ロイター] - 政府は29日に公表した7月の月例経済報告で、4月から景気判断に盛り込んでいた「米国の通商政策等による不透明感」との表現を「米国の通商政策による影響が一部見られる」に変更した。米国の関税措置を巡る合意を受けて4カ月ぶりに見直した。総括判断は「緩やかに回復している」で据え置いたが、「輸出」を12カ月ぶりに下方修正した。
先行きについても米国の通商政策に関する表現を変え、「景気の下振れリスクが高まっている」から「下振れリスクには留意が必要」とした。また、4月以降使ってきた、金融資本市場の変動等の影響に「一層注意する」との文言を「引き続き注意する必要」に修正した。
日米両政府は23日、日本の対米輸出にかける相互関税、自動車関税ともに税率を15%にすることで合意した。月例経済報告をまとめた内閣府の担当者は、トランプ政権の関税政策に起因する不透明感を懸念する状況ではなくなったと説明した。
項目別では、「輸出」の判断を「このところ持ち直しの動きがみられる」から「おおむね横ばい」となっているに下方修正した。半分を占めるアジア向け輸出の増加傾向が一服したという。
「個人消費」は判断を据え置く一方、表現を「消費者マインドが弱含んでいる」から「消費者マインドの改善に遅れがみられる」に変えた。「国内企業物価」も「緩やかに上昇している」から「このところ上昇テンポが鈍化している」に表現を見直した。
内閣府の担当者によると、米関税による下押しの影響は現時点で自動車産業に限られているという。4月から導入された25%の上乗せ関税を吸収するため、自動車メーカーは現地での販売価格を維持するため、米国向け自動車輸出価格を大幅に切り下げたため、1台当たりドル換算の単価は6月で対前年比22%下落した。日銀短観における自動車産業の経常利益計画も6月時点で昨年度比23.4%下方修正された。
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