話題株ピックアップ【夕刊】(2):ベルテクス、清水建、CIJ

清水建 <日足> 「株探」多機能チャートより
■ベルテクス <5290>  2,680円  +56 円 (+2.1%)  本日終値  ベルテクスコーポレーション<5290>が買われた。土木工事に使うコンクリート二次製品を手掛けるが、下水道向けを中心にマンホールや地中に埋設するボックスカルバート(箱型構造物)が好調で収益に貢献している。老朽化した下水道インフラの「予防保全」の動きが国策として推し進められるなか、同社にも中期的な恩恵が期待される状況にある。そうしたなか28日取引終了後、8月末現在の投資家を対象に1株を2株にする株式分割を実施することを発表しており、これを材料視する買いを呼び込む格好となった。

■清水建設 <1803>  1,676.5円  +27 円 (+1.6%)  本日終値

 清水建設<1803>は後場に切り返し、1990年以来の高値圏に浮上した。同社は29日午後1時、26年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算について、売上高が前年同期比10.2%増の4417億9900万円、営業利益が同9.7倍の172億5000万円、最終利益が同4.6倍の111億2800万円になったと発表。大幅増益で着地したことがショートカバーを誘い、株価を押し上げたとみられる。大型工事が順調に進捗したほか、工事採算も改善。開発物件の売却に伴う利益も寄与した。単独ベースでの受注高は前年同期比79.9%増の6225億7200万円だった。

■CIJ <4826>  483円  +7 円 (+1.5%)  本日終値

 CIJ<4826>が後場プラス転換。同社は29日午後2時、25年6月期の連結業績について、最終利益は12億8000万円から14億9500万円(前の期比57.7%増)で着地したようだと発表した。あわせて前期の配当予想を中間・期末各7円の年14円の予想から、中間7円・期末8円の年15円(前の期は11円)に増額修正したほか、発行済み株式総数の2.99%相当の自己株式消却も発表しており、株価の支援材料となった。賃上げ促進税制の適用などにより、法人税、住民税及び事業税が想定を超えて減少し、最終利益を押し上げた。半面、一部部門の成長が伸び悩んだことを背景に、売上高は従来予想の270億円から268億9900万円(前の期比4.5%増)に下振れして着地した。同社は自己株式200万株を8月28日付で消却する。

■INPEX <1605>  2,111.5円  +23.5 円 (+1.1%)  本日終値

 INPEX<1605>やENEOSホールディングス<5020>は堅調。28日の米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の9月限が前週末比1.55ドル高の1バレル=66.17ドルと上昇した。米国と欧州連合(EU)の関税交渉が合意に達し、EUが米国からエネルギー関連製品を7500億ドル購入することも明らかとなった。トランプ関税による景気減速と原油需要の減少懸念が後退したことが好感され、原油相場は上昇している。また、米国と中国の貿易協議に関して、一部関税の停止期限としている8月12日から更に90日間延長する案が浮上している、との報道も原油需要拡大の思惑を誘った。

■ヒロセ電機 <6806>  18,740円  +195 円 (+1.1%)  本日終値

 ヒロセ電機<6806>は続伸。28日取引終了後、半導体テスト製品の製造・販売事業を展開するエス・イー・アール(東京都品川区)の全株式を取得し、子会社化したと発表した。当該企業に対し、自社グループの製造ノウハウや商品開発力、販売チャネルによるサポートを行い、より優れた製品開発と事業の拡大を推進していく。これが手掛かりとなっている。

■萩原電気HD <7467>  3,405円  +10 円 (+0.3%)  本日終値

 萩原電気ホールディングス<7467>が続伸。同社と佐鳥電機<7420>は28日の取引終了後、26年4月1日をメドに経営統合することで基本合意したと発表しており、これを好感した買いが入った。株式移転により共同持ち株会社を設立し、両社はその完全子会社として傘下に入る。共同持ち株会社の株式を佐鳥電機株式1株に対して1.02株を、萩原電気HD1株に対して2株をそれぞれ割り当てる予定で、経営統合により取扱商品・顧客基盤の拡大による事業規模の拡大を図るほか、付加価値の高いソリューションの提供やグローバル展開の加速、業務効率化による生産性の向上などのシナジーを期待する。なお、共同持ち株会社は4月1日付で東証プライム市場と名証プレミア市場に上場させる予定で、統合の効力発生日に先立ち、両社は26年3月30日付で上場廃止となる。

■栗本鐵工所 <5602>  7,320円  +20 円 (+0.3%)  本日終値

 栗本鐵工所<5602>が全般地合い悪に抗して続伸し、連日の年初来高値更新。一時160円高の7460円まで買われるなど上値指向を鮮明とした。鋳鉄管の商品シェアで国内屈指、とりわけ上下水道管向けダクタイル鉄管などで実績が高い。ナノテク関連技術にも早くから取り組むなど研究開発分野でも定評がある。下水道の老朽化が社会問題視されており、平均耐用年数が50年ほどといわれるなか、これを超過した下水道管は全体の約7%を占めるとされ、その対応が国策として喫緊の課題となっている。同社はその関連有力株として機関投資家とみられる資金の実需買いが継続的に流入したもようだ。株価指標面でもPERやPBR、配当利回りなどに依然として割高感は感じられない。

■Synspective <290A>  988円  -249 円 (-20.1%) 一時ストップ安   本日終値

 Synspective<290A>は一時ストップ安。28日取引終了後、第三者割当による行使価額修正条項付き第5回新株予約権(停止指定条項付き)を発行すると発表した。発行新株予約権数は19万5230個(潜在株数1952万3000株)で、希薄化率は議決権ベース(6月末時点)で最大17.51%。調達資金約240億円(手取り概算額)は小型SAR衛星の製造・打ち上げと関連する設備投資資金などに充てる。将来的な1株利益の希薄化を警戒した売りが出た。

■さくらインターネット <3778>  2,970円  -700 円 (-19.1%) ストップ安   本日終値  東証プライム 下落率トップ

 さくらインターネット<3778>がストップ安。28日の取引終了後、26年3月期の連結業績予想について、売上高を404億円から365億円(前期比16.2%増)へ、営業利益を38億円から3億5000万円(同91.6%減)へ、最終利益を24億円から2億円(同93.2%減)へ下方修正したことが嫌気された。継続を見込んでいた生成AI向けの大型案件終了の影響により、GPUインフラストラクチャーサービスの売上成長が一時的に遅れる見込みであることが要因という。同時に発表した第1四半期(4~6月)決算は、売上高74億9200万円(前年同期比26.2%増)、営業損益4億5700万円の赤字(前年同期2億3100万円の黒字)、最終損益3億2400万円の赤字(同4100万円の黒字)だった。提供開始2年目を迎えたGPUインフラストラクチャーサービスが牽引役となり、売上高は第1四半期として過去最高を更新。ただ、人材獲得などの戦略的先行投資が順調に進行した影響から、一時的にコスト先行となり赤字に転落した。

■レーザーテック <6920>  14,850円  -1,345 円 (-8.3%)  本日終値  東証プライム 下落率2位

 レーザーテック<6920>が急落した。モルガン・スタンレーMUFG証券が28日、レーザーテクの投資判断をこれまでの「イコールウェート」から「アンダーウェート」に引き下げた。目標株価は1万1700円から1万1000円に減額修正している。半導体の技術ドライバーが先端露光技術からパッケージに移行し、EUV(極端紫外線)露光用マスク及び関連装置の需要はピークアウトしていると指摘。同証券はレーザーテクの27年6月期のEPS(1株利益)予想を832円30銭から785円70銭に見直している。 株探ニュース

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