佐々木朗希の"リアル評価"「失望と言わざるを得ない」 米記者が見た1年目…高すぎた期待に謝罪
ドジャース・佐々木朗希投手のメジャー1年目が、あと1か月で終わろうとしている。今季は日本開幕第2戦でメジャーデビューを果たしたが、8試合に登板した後に故障者リスト(IL)入り。マイナーでリハビリ登板を繰り返しているが、今季のメジャー復帰は厳しい状況になりつつある。MLBを20年以上取材するロサンゼルス地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」のビル・プランケット記者に、佐々木の今季の評価を聞いた。
23歳にして海を渡った佐々木は、ロッテ時代からメジャーのスカウトが注目。先発投手ながら160キロを連発する才能に、20球団以上が代理人に接触した。今季は日本開幕第2戦で早々にデビュー。しかし日本時代のような打者を圧倒する投球とはいかず、8試合に登板した後に右肩インピンジメント症候群のため離脱となった。
9月2日(同3日)には3Aオクラホマシティで4度目のリハビリ登板。5回は投げ切ったものの、初回に2本の本塁打を浴びて4失点し、最速は96.9マイル(約156キロ)。その後、ロバーツ監督は今後もマイナーでの登板を続けると説明した。プランケット記者は「(状態が)ずっと同じ感じだからね。首脳陣は球速、球質そして結果の改善が見られていないと感じている。なので、失望と言わざるを得ない」と評した。
今後、ドジャースの先発ローテーションに怪我人が出れば“待望論”も出てくる可能性もあるが、今は大谷も復帰し、先発陣をうまく回せている状況だ。プランケット記者は「9月にブルペンでチャンスを与えることはあるかもしれません」としながらも、「ポストシーズンのメンバーに登録されるとは思えません」と語る。
「もしかしたら1、2イニング投げることは得意なのかもしれませんが、私はとても懐疑的です。来年の春までドジャース(メジャー)では投げないと予想しています」
佐々木への大きすぎる期待「彼のやっていることは、とても難しいこと」
5月以降、メジャーで投げられていない佐々木についてプランケット記者は「がっかりしています。期待外れですね」とバッサリ。一方で「期待が高すぎたので、私たちも謝罪しないといけません」とも話す。
「彼のやっていることは、とても難しいこと。23歳で日本からやって来て、こういう(優勝争いをする)チームのローテーションに飛び込んでいる訳だからね。ヤマモトやマエダなど、MLBでプレーした多くの日本人投手と違って日本で経験を積んだ完成された投手ではないから、これは彼にとって大きなジャンプアップです。ロウキはまだ経験を積み始めた段階。どちらかというと、完成品というより、プロスペクトのような目で見るべきだね」
佐々木はロッテ時代に1年を通してローテーションで投げたことはなく、その点は渡米前から懸念されていた。それでも入団会見では「お金よりも、2年間(アメリカで)過ごす時間の方が価値のあるものだと考えました」と早期の挑戦への“覚悟”を口にしていた。1年目から何事も上手く進むとは、佐々木自身も思っていなかったはずだ。
現在マイナーで登板を続ける佐々木については、球速がなかなか上がっていないことをロバーツ監督も危惧している。来季以降活躍するために、佐々木には何が足りないのか。
「速球をもっと打ちにくい球種にしなくてはいけません。それが球速だけの問題か分からないが、完成された球種が3つか4つあると(速球の)助けになるでしょう」。5月までの登板では、投球割合は直球が50.2%、スプリットが32.9%と、2球種が投球の8割を占めた。スプリットでは空振りを奪えるものの、球種が“ほぼ2択”では、打者はどちらかに絞って打ちにいける。
「スプリットはとてもいいと聞いていましたが、打者はその球をスイングをする必要がなかった。速球を待ってさえいればいい。なので、スライダーを改善させ、チェンジアップなどの球種を織り交ぜる必要があると思う」
離脱を経て、現在はツーシームやカットボールにも挑戦中だ。試練の1年目にはなったが、まだ23歳。長期的な視野で、覚醒の時を待ちたい。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)