No.1新戦力は!? 鹿島アントラーズ、“大成功”補強ランキング1~5位。“常勝軍団”を支えたニューカマーたち
目下、J1リーグで優勝争いを演じる鹿島アントラーズ。今季開幕前に的確な補強を行い、夏の移籍市場でも積極的な動きを見せた。2016年以来のリーグ制覇に向けて、本気度の高さが窺える。今回は、優勝争いの原動力となっている補強選手をランキング形式で紹介する。[1/5ページ] ——————————
5位:小川諒也(おがわ・りょうや)
【写真:Getty Images】
生年月日:1996年11月24日 今季のリーグ戦成績:13試合0ゴール2アシスト
2022年7月からの3年間はポルトガルとベルギーでプレーし、今年の6月に鹿島アントラーズに加入した小川諒也。3年間にわたる欧州挑戦から日本に復帰した28歳は、常勝軍団の一員としてプレーしている。
シーズン途中の加入は適応が難しく、実力を発揮できずに戦いを終えてしまうケースもある。
特に小川の場合、シーズンの期間が異なる欧州クラブからの移籍だ。そのうえ同選手は、2024/25シーズンをシント=トロイデンのサイドバックとしてほとんどフル稼働していた。
公式戦38試合を戦い抜いた体には現行J1のフィジカルレベルは高く、加入当初は苦しんだ。
プロキャリアをスタートさせたFC東京時代から守備が特長の選手ではなかったが、夏に行われた試合では自陣で踏ん張れないシーンが目立った。
9月13日の湘南ベルマーレ戦以降は、リーグ戦でベンチに座ることが増えた。9月から今日までに行われた8試合のうち、スタメン起用は2試合のみだ。
だが、フル出場を果たした11月8日の横浜FC戦では、得意の左足からアシストを記録している。
右コーナーキックからゴールに向かって巻いてくるボールに、中でポジションを取る知念慶が頭で合わせた。
このシーンに限らず、この試合では小川のクロスから何度もチャンスが生まれている。自身のストロングを出せれば間違いなくチームの力になれることを証明してみせた。
怪我で戦線を離れた安西幸輝に代わり、名門の左SBとして躍動する背番号「7」。鹿島のリーグ制覇に向け、欠かせない選手のひとりである。
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目下、J1リーグで優勝争いを演じる鹿島アントラーズ。今季開幕前に的確な補強を行い、夏の移籍市場でも積極的な動きを見せた。2016年以来のリーグ制覇に向けて、本気度の高さが窺える。今回は、優勝争いの原動力となっている補強選手をランキング形式で紹介する。[2/5ページ] ——————————
4位:エウベル
生年月日:1992年5月27日 今季のリーグ戦成績:10試合1得点1アシスト
エウベルは夏の移籍市場で横浜F・マリノスから鹿島アントラーズに加入した。
今年5月に33歳を迎えたベテランアタッカーは、加入直後からクオリティの高さを発揮している。
1-1の引き分けに終わった8月16日のアビスパ福岡戦で鹿島デビュー。後半途中からの出場だったが、要所で強さとテクニックを見せた。
87分にはアタッキングサードからドリブルで運ぶと、バイタルエリアでFKを獲得。さらにアディショナルタイムには濃野公人へ鋭いスルーパスを出し、チャンスを演出した。
いずれも得点には繋がらなかったが、ブラジル人アタッカーの可能性を感じさせるには十分だった。
その1週間後のJ1第27節・アルビレックス新潟戦ではアシストを記録した。相手のビルドアップで生じたミスを見逃さなかったエウベルは、パスカットからゴール前の鈴木優磨に繋ぐ。これをエースが落ち着いて決め切った。
攻撃時には個人で打開、守備時には前からのプレスを高い強度で実行できる。
今季の鹿島はここ数シーズンと比較するとハイプレスを試みるシーンが多いが、その点でエウベルのキャラクターは大いにチームを助けた。
ただ、やはり加齢の影響は見られ、試合数をこなしてゆくと同時に、守備時の強度が落ち始める。
J1第35節、上位対決となった京都サンガF.C.戦での地上戦勝率は25%にとどまった。
攻撃時にも強度の高い相手の守備に手を焼き、パスミスも目立った。幅を取りながらチャンスを窺うプレーは時折効果を発揮したが、決定機を作るには至らなかった。
京都戦は同選手がピッチを退いたあとに生まれた鈴木のゴールにより、1-1の引き分けに終わっている。
続く第36節・横浜FC戦では出番を与えられず、2-1で勝利した90分をベンチから見届けた。
とはいえ、J1で6シーズン目を戦うアタッカーは、限定的な起用法だとしても脅威である。
残り2試合となった今季、エウベルの力が必要な場面もあるだろう。
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3位:キム・テヒョン
【写真:Getty Images】
生年月日:2000年9月17日 今季のリーグ戦成績:28試合0得点1アシスト
鹿島アントラーズの守備の柱、関川郁万の長期離脱が致命傷に至らずに済んでいるのは、キム・テヒョンの存在が大きい。
今季開幕前にサガン鳥栖から加入した韓国代表DFは、鹿島のゴール前を強固にする。
移籍直後の同選手の出番はそう多くなかった。
開幕13試合での彼の合計出場時間はわずか17分。試合終了間際のクローザーとしての役割が大半で、長くとも5分前後のプレータイムだった。
だが5月2日に行われたJ1第14節・FC町田ゼルビア戦で関川が左膝複合靱帯損傷の大怪我を負うと、以降はキム・テヒョンが先発に名を連ねている。
関川の復帰が待たれる中で、25歳のDFは完璧に穴を埋めてみせた。
その一月後には左SBの安西幸輝も怪我で離脱したことにより、盤石と見られていたDFラインの左サイドを新顔で固める必要性も生じた。
途中加入の小川諒也と共に、関係性をイチから構築することを迫られたのだ。
暑さが厳しい夏の間は難しい時間を過ごしたが、1-0で勝利したJ1第30節・浦和レッズ戦あたりから安定感が見え始める。
守備時には地上と空中の両方で強さを見せ、攻撃時には積極的にビルドアップに関与する。
直近に行われた第36節・横浜FC戦では相手のロングボールを何度もはね返し、二次攻撃も防いだ。
ロングスローからの混戦を決められてしまったのは反省点だが、それ以上の失点を喫さず、2-1で勝ち切ったところは評価されるべきだろう。
そしてこのあと行われたインターナショナルウィークでは、韓国代表として2試合でピッチに立った。
11月14日のボリビア代表戦ではソン・フンミンやキム・ミンジェ、イ・ガンインらスター選手らと共にスタメン起用されている。
このまま鹿島がJ1を制覇した場合、キム・テヒョンの台頭は確実に好意的な評価を受けるだろう。
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2位:小池龍太(こいけ・りゅうた)
生年月日:1995年8月29日 今季のリーグ戦成績:29試合1得点4アシスト
今季の鹿島アントラーズにおいて、“できれば2人欲しい”という願いをその身に受けていたのは小池龍太だろう。
今シーズンからの新加入とは思えない、まるで鹿島に何年も在籍していたかのようなプレーぶり。
その成熟した働きにより、バランサーおよび潤滑油役として攻守に不可欠な存在感を見せた。
本職はSBだが、中盤でのプレーも難なくこなせる器用さも持ち合わせている。シーズン序盤ではサイドハーフとして起用されており、その後も度々同ポジションでプレーしている。
J1第2節・東京ヴェルディ戦と第22節・ファジアーノ岡山戦では右サイドハーフとしてアシストを記録しているが、その内容は大きく異なるものだ。
前者の2アシストはハイプレスとインターセプトによるボール奪取から、後者は味方のボール保持からスルーパスを最前線のFWに供給し、異なる形のゴールに直接関与することが出来ている。
攻守において“適切なタイミングで適切な場所にいる”能力においては、Jリーグ全体でも屈指だろう。
その老獪なプレーにより、小池は今季の鹿島の躍進を支えたキープレーヤーと言って差し支えないはずだ。
残り2試合でも不可欠な存在である。
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1位:レオ・セアラ
生年月日:1995年2月3日 今季のリーグ戦成績:32試合19得点0アシスト
今回のランキング第1位には、やはり暫定リーグ得点王のレオ・セアラをあげたい。
チームが手詰まりのとき、個人で打開してくれるのは多くの場合このブラジル人ストライカーだった。
J1リーグ第5節・柏レイソル戦ではボックス内の仕事を完遂し、ハットトリックを達成。チームの3-1勝利の立役者となった。
そして圧倒的な“個”の能力を発揮したのも、柏との再戦時だった。
J1第24節、前半の立ち上がり5分にそれは起きる。
両チームの選手がピッチ中央で競り合うと、舩橋佑がこぼれ球を足先で小突く。ハーフウェイライン付近でこのこぼれ球を拾ったレオ・セアラが、ためらうことなく右足を振り抜いた。
このあと2点差を追いつかれるも、後半アディショナルタイムの松村優太の劇的弾により鹿島が3-2で勝利した。
ブラジル人ストライカーの先制点がなければ、今頃は勝ち点「68」で柏の後塵を拝していた可能性もある。
気が休まる瞬間が全くない今シーズンの激戦模様。その綱渡りのチームを最前線で支えるのが、現在リーグ19得点を稼いでいる背番号「9」だ。
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