米株急落の混乱、社債市場に波及-景気懸念で投資家はリスク回避急ぐ
- 高格付け債のデフォルトに備えるコスト、昨年8月以来の高水準
- 信用スプレッド拡大なら景気後退の公算大と市場は想定-ミスラ氏
米株式相場がここ数週間に急落する中で、ウォール街のプロたちは、底堅く推移するクレジット市場やまずまずの経済データに慰めを見いだしていた。しかし、13日はどちらもあまり安心材料にはならなかった。
トランプ米大統領が大西洋を挟んだ欧州との貿易戦争をエスカレートさせたことから、経済の変化を予測する「賢明な投資家」と呼ばれてきた社債投資家がリスク回避に走った。 高格付け債のデフォルト(債務不履行)に備える保証コストは日中ベースで、昨年8月の(短命に終わった)相場急落以来最高を記録した。 人気の高い高利回り上場投資信託(ETF)のヘッジは急増。少なくとも6社が社債発行の延期を決めた。
The index price, which falls as credit risk climbs, dropped
Source: Bloomberg
経済面では、一見穏やかな米生産者物価指数(PPI)のデータも市場の不安を沈めることはできず、食品とエネルギーを除く財価格の指標は大幅上昇した。
貿易摩擦の激化が米国の投資と消費サイクルを脅かしている証拠が増えるにつれ、株式の押し目買いは消えた。S&P500種株価指数は13日にさらに1.4%値下がりし、直近高値からの下落率が10%に達してほぼ2年ぶりに調整局面入りした。
今週の市場の動きから得られる教訓があるとすれば、クレジット市場は株式時価総額を2月下旬以来5兆ドル(約740兆円)余り消失させた経済成長懸念を確認し始めていることだろう。
最近信用リスクへのエクスポージャーを減らしたというJPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は「信用スプレッドがさらに大幅に拡大するようなら、市場がリセッション(景気後退)の可能性が高いと織り込み始めていることを意味すると思う」とコメント。「信用リスクは経済データの弱さを覆い隠すことはできないだろう」と付け加えた。
リスク資産が急落した直接的な原因は明白だ。トランプ大統領は欧州連合(EU)産のワイン、シャンパン、その他のアルコール飲料に200%の関税を課すと威嚇し、今週発動した鉄鋼・アルミニウム関税を撤廃しないと表明。クロスアセットのボラティリティーに新たな痛手となった。
原題:Stock Turmoil Spreads as Fear Hits the World of Corporate Bonds(抜粋)