ライズ強し…圧倒的売れ行きの秘密は「安さ」?「使い勝手」?「サイズ」??
トヨタのコンパクトSUV「ライズ」が、いま驚異的な売れ行きを見せている。2025年6月の登録台数は11,216台を記録し、登録車全体で堂々の2位にランクイン。1位のヤリス(11,943台)に700台余りと迫る勢いで、ランキング上位常連のカローラ(11,020台、3位)やシエンタ(8,385台、5位)を上回る快挙となった。
ライズの登場は、2019年11月。発売から5年以上が経過したモデルであることを考えれば、この成績はまさに異例。なぜいま、ライズがここまで売れているのか。その理由を改めて探っていこう。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】発売から5年以上だけど大人気!! いま売れているトヨタのコンパクトSUV「ライズ」(15枚)ライズの最大の魅力は、やはりその価格設定だ。ガソリン車は税込180万円から、ハイブリッド車でも税込223万円から、最上級のZグレード(ハイブリッド)でも税込244万円と、ライバルのヤリスクロスやWR-Vと比べてもリーズナブルな価格設定となっている。
新車価格が全体的に上昇傾向にある中、この「手が届くSUV」はまさに貴重な存在。しかもライズは、リセールバリューも比較的高めで、たとえば、中古車サイトで2020年式・ガソリンZ・2WD・走行3万km以下の個体を探すと、160~250万円といった価格帯が目立つ。新車時価格205万円(ガソリンZグレードの2020年当時の価格)のクルマがこの価格で取引されているのだから驚きだ。ただもちろん、ライズの魅力は安いだけではない。
全長4メートル未満の5ナンバーサイズだが、立派なサイズに見えるエクステリアデザインは、ライズの魅力のひとつだ
ライズの全長は3,995mm、全幅も1,695mmと、5ナンバー枠に収まるコンパクトなボディサイズ。最小回転半径も4.9〜5.0mと軽自動車並みで、見切りのよい角ばったデザインも相まって、取り回しやすさと運転のしやすさが抜群だ。狭い道や立体駐車場でも苦労せず、運転に不安のある初心者ドライバーでも安心して運転することができるだろう。車両重量がガソリン車で970kg~1050kg、ハイブリッド車でも1060kgもしくは1070kgと軽く、最低地上高が185mmあるのもライズの「運転のラクさ」に貢献している。
2021年11月に追加されたハイブリッドモデルも、ライズの大きなセールスポイントだ。1.2Lエンジン+モーターで発電・走行を行う「e-SMARTハイブリッド」は、小排気量でシンプルな構造ながら、発進から低中速域まで力強く走ることができる。実用域での使いやすさに優れ、まさにライズにぴったりのハイブリッドシステムだ。ユーザーからの評価も高いようで、2025年6月時点では、販売全体の約5~6割をハイブリッド車が占めている。
2021年11月に追加されたe-スマートハイブリッド車も、軽快で良い走り
また、見た目以上に荷物を積めるのもライズのすごいところ。荷室は2段デッキボード構造となっており、普段はフラットで出し入れがしやすいデッキボード上段に積み込み、大きな荷物を積みたいときには下段も活用できる。容量は上段で145L、下段で80L(ガソリン2WD・VDA法によるトヨタ測定値)と十分。後席を倒せば、さらに大きな荷物も積載できる。
(従来型の)RAV4にも似た、頼もしさを感じさせるエクステリアデザインも、ライズの魅力だろう。サイズ以上の存在を感じさせてくれるし、内装も、一部にプラスチック感はあるものの、先進的な雰囲気を演出するデザインによって満足感の高い仕上がりとなっている。後席の足元スペースもこのクラスとしては広めで、視界の高さも相まって、大人が座っても圧迫感は少ないはずだ。
荷室スペースの下には、深めのサブスペースがある。洗車用具を入れて置いたり、背の高い荷物を積む場合にも役立つ
ライズハイブリッドZグレードの内装。先進的なデジタルメーターなどはないが、スイッチやディスプレイなどのレイアウトが上手くまとめられており、使いやすいコクピットだ