米求人件数が減少、レイオフ率は横ばい-労働市場の冷え込み映す

2月の米求人件数は減少した。レイオフは低水準にとどまっているものの、労働市場が徐々に冷え込みつつあることを示す新たなデータとなった。

キーポイント
  • 求人件数は756万8000件に減少
    • ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は765万8000件
  • 前月は776万2000件(速報値774万件)に上方修正

  業種別では小売業や金融業、宿泊・飲食サービス業での減少が目立った。

  求人件数は2022年のピークから減少傾向が続いたが、このところは新型コロナ禍前の水準付近で推移している。ただ、トランプ大統領の政策が不透明なため、企業の投資計画が保留され、雇用市場や経済成長全体が低迷するリスクもある。

  パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は雇用市場を「解雇も採用も抑制された状況」と位置づけている。4日発表の3月雇用統計についてエコノミストは、雇用者数の伸びが鈍化する一方で、失業率は4.1%で横ばいと予想している。

  2月の雇用率は前月と変わらずの3.4%。引き続き新型コロナのパンデミック(世界的大流行)発生以来の低水準付近となった。

連邦政府でのレイオフ

  レイオフ率は前月から横ばいで、コロナ禍前とほぼ同じ水準。ただ、ここ数カ月は連邦政府機関などでの人員削減発表が相次いでおり、2月の連邦政府職員のレイオフ件数は2010年以来の大きな増加となった。そこからトランプ政権はさらに数千人を解雇している。 

  最近の消費者調査では、雇用の見通しや家計状況への悲観が強まっていることが示されており、ウォルマートやアメリカン航空グループなどは今後の需要減退を警告している。消費支出の顕著な抑制につながれば、企業の採用計画にも影響する可能性がある。

関連記事:米消費者信頼感、4年ぶりの低水準-トランプ関税を巡る懸念で

  自発的離職者の割合である離職率は前月から横ばいの2%。景気の先行きに悲観的な見方が広がる中、多くの労働者は転職せずに同じ仕事を続ける傾向を強めている。かつては転職すると報酬アップが見込まれたが、そうした状況はあまり望めなくなっている。

関連記事:米労働者、転職しても報酬アップ望めず-会社に残る方が得策

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏は「2月の求人件数統計は米労働市場が冷え込みつつあるのをさらに確信させるものだ」とリポートで指摘した。

  金融当局が注視する失業者1人当たりの求人件数は1.1件と、前月から変わらず。2022年のピーク時には2件だった。

  低い回答率と大幅な修正から、この労働省雇用動態調査(JOLTS)の信頼性を疑問視するエコノミストもいる。ただ、求人情報サイトのインディードによる類似の指数でも、2月の求人数は減少。同指数は毎日更新され、3月28日時点では4年ぶり低水準となっている。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Fewer US Job Openings, Layoffs Unchanged in Slowing Labor Market(抜粋)

関連記事: