米財務省、7-9月借り入れを1兆ドルに引き上げ-現金の再構築急ぐ
- 4月時点の予想5540億ドルから上方修正、債務上限引き上げ受けて
- 10-12月期については、5900億ドルの純借り入れを予想
米財務省は、7-9月(第3四半期)の連邦政府の借り入れ見通しを1兆ドル(約148兆円)に引き上げた。債務上限による歪みを主に反映した。
28日の財務省発表によると、7-9月期の純借り入れ額は1兆100億ドルになる見込み。4月時点の予想の5540億ドルから上方修正した。
今年前半は債務上限の制約により、証券の発行額を大幅に削減する必要があった。しかし今月初めに議会が債務上限を5兆ドル引き上げたことから、財務省は手元資金を再び積み増すべく発行を拡大している。
財務省の4月時点の見積もりは、慣例に従い債務上限の影響を除外して算出されていた。当時は6月末の現金残高を8500億ドルと見込んでいたが、実際には4570億ドルにとどまった。
「四半期初めの現金残高が想定よりも少なかった点を除けば、今四半期の借り入れ見通しは4月時点の予想を600億ドル上回るものだ」と財務省は説明した。
10-12月期
市場関係者の間では、今回の修正はおおむね予想されていた。財務省は9月末時点での現金残高が8500億ドルに達するよう、短期証券(Tビル)の発行規模を拡大している。
ジェフリーズの上級エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、財務省は主にTビルを通じて借り入れを行い、市場アクセスが遮断された場合でも1週間分の支払い義務を履行できる水準まで現金残高を回復させる方針だと、リポートで指摘した。
財務省は10-12月期については、5900億ドルの純借り入れを予想。同四半期末時点での現金残高を8500億ドルと想定している。
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原題:US Ramps Up Quarterly Borrowing to $1 Trillion in Cash Rebuild(抜粋)