あまりにガラガラ…。Jリーグ収容率ワーストランキング11〜15位。J1の名門もランクイン
2025年の明治安田Jリーグは前半戦が終了し、各クラブは後半戦に臨んでいる。スタジアムでは多くの観客が訪れて賑わいを見せているが、集客に苦戦し「収容率」が低調なクラブも存在する。今回は、今季前半戦におけるJ1~J3までの各クラブのリーグ戦収容率を計算。残念ながらスタンドの熱狂に欠けたクラブをランキング形式で紹介する。※入場者数は『Jリーグ公式サイト』を参照。成績およびデータは6月15日時点
15位:横浜F・マリノス
【写真:Getty Images】
本拠地:日産スタジアム 収容可能人数:71,624人 平均入場者数:22,263人 収容率:31.1%
今回のランキングでは、集客で苦戦しがちなJ3勢がワースト順位に固まるなかで、“オリジナル10”のメンバーとして際立った存在感を示す横浜F・マリノスが不名誉なランクインを果たしてしまった。2025シーズン前半戦におけるJリーグ収容率ワーストランキングの順位は15位となっている。
まず前提として、国際試合も数多く開催される本拠地『日産スタジアム』が収容可能人数71,624人という巨大会場である点は押さえておくべきだ。今季前半戦における平均入場者数は22,263人。J屈指の名門としてJ3クラスから逸脱した入場者数を記録している。
しかし、22,263人という数字は広大なスタンドを埋めるには程遠いもので、収容率は31.1%と低調な結果に。空席が目立ってしまっている。
また、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)参戦による過密日程の影響で、今季は平日開催が増えていることにも触れておく必要がある。第18節の鹿島アントラーズ戦など、土日開催では観客数が3万人を超えることもあるが、やはり平日は2万人以下に終わることがほとんど。これも、収容率の低さに影響していることは間違いない。
今季のマリノスは過去に経験したことのない“J1単独最下位”(3勝5分11敗)という立場に追い込まれており、J2降格も現実味を帯びている。監督解任はすでに今季2回目と危機的なムードがクラブを包み込んでいるが、それでも平均2万人超の観客数を記録しているのは、さすがだ。
いつのときも声援を送り続けるサポーターのためにも、なんとか残留したい。
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【写真:Getty Images】
2025シーズン前半戦におけるJリーグ収容率ワーストランキングで14位に入ったのは、明治安田J3リーグでの戦いが4シーズン目となっているギラヴァンツ北九州だ。
一般的に、観客の収容率はチームの成績と密接に結びつくことが多い。もちろん、愛するチームがどれほど低迷しようともサポーターが熱心に応援を続けるケースもあるが、基本的には「チームが強ければファンが増え、成績低迷が続くとファン離れが起きる」というのはスポーツの常である。その点、北九州はJ2昇格プレーオフ出場圏内の6位(8勝3分6敗)につけており、ここまでの成績は決して悪くない。
同クラブは、今季におけるホーム戦の年間入場者数の目標数値を今年2月に「104,500人」と公式SNSを通じて発表した。本拠地『ミクニワールドスタジアム北九州』で19試合を戦うことになるので、1試合平均5,500人の入場者数が必要になる。
だが現実は厳しく、今季前半戦における平均入場者数は4,544人。収容率は29.70%と目標達成にはやや厳しいペースだ。
毎試合で+1,000人弱の積み増しが必要な北九州。地道なイベントだけでこれほどの集客増を目指すのはなかなかハードである。
そうなると注目試合の開催が集客の要となるが、J3にいることでアビスパ福岡との“福岡ダービー”やレノファ山口FCとの“関門海峡ダービー”といった話題性のあるマッチメイクができないのはマイナス材料と言えるだろう。
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2025シーズン、観客動員で苦戦しているのが栃木SCだ。シーズン前半戦におけるJリーグ収容率ワーストランキングの順位は13位。今季から明治安田J3リーグでの戦いを強いられているという事実が、観客数の減少と結びついているのは間違いないだろう。
本拠地『カンセキスタジアムとちぎ』の収容可能人数は24,670人。Jリーグ全体では中堅やや上位といった規模感で、サガン鳥栖の『駅前不動産スタジアム』 (収容可能人数:20,219人)やモンテディオ山形の『NDソフトスタジアム山形』(収容可能人数:20,638人)といった上位カテゴリークラブのスタジアムよりもキャパシティーが大きい。
しかし現状では、広いスタジアムとJ3というカテゴリーの相性は悪いと言わざるを得ない。対戦相手のネームバリューはJ1やJ2と比べるとどうしても見劣りしてしまい、ファンを惹きつける魅力的なカードの数が少なくなってしまうからだ。
今季は、2024シーズンにJ3参入を決めた栃木シティFCという“県内のライバル”が同カテゴリーに存在する。“Jリーグ史上初の栃木ダービー”という引きは強く、3月にホームで行われたリーグ第7節には「12,807人」もの観客が来場。今季前半戦における平均入場者数6,709人のほぼ倍近くの客入りとなった。
だが、“栃木ダービー”を終え、6月に同じくホームで開催された第15節、ザスパ群馬との“北関東ダービー”も消化した今、栃木SCに27.19%という収容率を引き上げるだけのビッグマッチは残されていないのが現状だ。
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2025シーズン前半戦におけるJリーグ収容率ワーストランキングで12位に入ったのは、明治安田J3リーグの順位表で19位(4勝4分9敗)に沈んでいるFC琉球だ。
今季前半戦における琉球の平均入場者数は2,760人。本拠地『沖縄県総合運動公園陸上競技場』の収容可能人数が10,189人であるため、収容率は27.09%ということになる。先に述べたように、J2昇格の可能性を感じられない現状ではサポーターの関心を繋ぎ止めるのは容易ではなく、その低迷ぶりは新規ファンの獲得に相当高いハードルとなる。
2024シーズンを振り返ってみると、琉球の平均入場者数は対前年119%の3,007人となっている(2025年4月22日/FC琉球公式サイトより)。
クラブ側は昨シーズンの入場者数増加の理由について「面白イベント企画やポスタークリエイティブ、マスコットキャラクターであるジンベーニョを活用したマーケティング強化」を挙げており、集客施策が一定の効果を上げている側面は確かにある。
一方、今季はホーム開幕戦となったリーグ第2節・FC大阪戦で『ばんない集まれ! ホーム開幕戦6000人チャレンジ THEリベンジ』を実施したものの、結果は4,033人で目標達成は叶わなかった。
2024シーズンの開幕戦で設定された5,000人目標が4,957人で惜しくも達成できず、その反省を踏まえてリベンジ設定した企画だったが、前年の実績を下回る入場者数となってしまったのは痛手だった。まずはJ3で少しでも順位を上げ、サポーターの心に灯をともす戦いをピッチ上で披露していきたいところだ。
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2025シーズン前半戦におけるJリーグ収容率ワーストランキングで11位に入ったのは、2014シーズン以来11年ぶりとなるJ2挑戦に臨んでいるカターレ富山だ。
富山の本拠地『富山県総合運動公園陸上競技場』は車のアクセスが良い。北陸自動車道富山ICから約4㎞とそれほど遠い距離ではなく、アウェイサポーターも遠征を計画しやすい。
ただ、公共交通機関での来場はやや不便で、ホーム戦開催日のみ運行される臨時直行バスか路線バスを利用するケースが大半だ。特に路線バスは乗車時間35分+徒歩10分がかかり、余裕を持った観戦計画が求められる。バスの本数自体もそれほど多くはない(平日約8本程度)。
今季、富山はホーム戦で『2025シーズン市町村サンクスデー』を実施するなど集客施策に力を入れている。観客の無料招待やスタジアムグルメといったイベントは新規層の取り込みにも有効だ。
だが、今季前半戦における平均入場者数は4,970人、収容率26.7%。同じくJ2を戦っていた2014シーズンは4,266人で、現段階で微増傾向が見られるが、劇的な成果を挙げているとは言えない。『富山県総合運動公園陸上競技場』の収容可能人数は18,588人とJリーグ全体では中堅規模だが、J2・J3では比較的大きめのキャパシティーになる。
ツエーゲン金沢との“北陸ダービー”のような地元意識がスパークする一戦があればホーム戦の賑わいもまた違ったものになるが、如何せん金沢とは戦うカテゴリーが分かれている(金沢はJ3)。まずは19位(3勝7分9敗)という現在の順位を少しでも上げ、ファンから「週末に足を運ぶイベント先」に選ばれる必要がある。
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