ロシア軍がウクライナに合計526発の大規模な長距離ドローン・ミサイル攻撃、合計75突破される被害(JSF)

JSF軍事/生き物ライター
ウクライナ空軍より2025年9月3日迎撃戦闘の集計報告

 2025年9月3日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計526飛来(ドローン502機+ミサイル24発)でした。先月の8月は前半は攻撃が低調でしたが米露アラスカ会談を挟んで後半から攻撃が激化しており、その傾向は9月に入ってからも続いているようです。

※これは1日500飛来以上の記録で3年以上続く全面戦争下で過去8回あり、この8回は全て最近の約2カ月間に起きている。

※ただしドローンは自爆無人機だけでなく安価な囮無人機を大量に含んだ数字。

※なおドローンは毎日飛来しており、最も数が多かった2025年7月は1日あたり平均210飛来のペース。ただし飛来数は日々増減しており振れ幅は大きい。

2025年9月3日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部

  • Kh-101巡航ミサイル×8飛来7撃墜
  • カリブル巡航ミサイル×16飛来14撃墜
  • 自爆無人機と囮無人機×502飛来430排除 ※排除は撃墜と未到達を含む
ウクライナ空軍より2025年9月3日迎撃戦闘の集計報告

攻撃はウクライナ西部に多く飛来

※攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/mon1tor_ua/53632

  • 赤色:Kh-101巡航ミサイル(空中発射)
  • 緑色:カリブル巡航ミサイル(艦船発射)
  • 黄色:自爆無人機と囮無人機(地上発射)

ППО радар × monitorwar の両氏の共同作業による攻撃経路の可視化地図。

2025年9月3日:合計526飛来451排除、75突破 

  • 巡航ミサイル×24飛来21撃墜、3突破 ※阻止率88%
  • 敵性ドローン×502飛来430排除、72突破 ※阻止率86%

 阻止率でみるとそこまで悪い数字ではありませんが、あまりに飛来数が多いので合計で75突破もされています。最近の大規模攻撃時(1日500機以上飛来した8回のケース)の突破数の比較をしてみると、2025年9月3日の75突破は最も多い数字です。つまり記録上は過去最大の突破数を許してしまっています。

最近の大規模攻撃時の突破数の比較

 ただし打撃力換算(ミサイル1発はシャヘド自爆無人機10機分の弾頭重量に相当)をした場合は以下の通りになります。実は突破されて被弾した打撃力の投射量では2025年6月29日の攻撃が最も多くなります。

突破数の打撃力換算(ミサイル1点、ドローン0.1点)

  • 2025年9月03日:合計10.2点(ドローン7.2点+ミサイル3点)
  • 2025年8月30日:合計9.7点(ドローン2.7点+ミサイル7点)
  • 2025年8月28日:合計8.5点(ドローン3.5点+ミサイル5点)
  • 2025年8月21日:合計11.8点(ドローン2.8点+ミサイル9点)
  • 2025年7月12日:合計2.1点(ドローン2.0点+ミサイル1点)
  • 2025年7月09日:合計7.7点(ドローン1.7点+ミサイル6点)
  • 2025年7月04日:合計15.3点(ドローン6.3点+ミサイル9点)
  • 2025年6月29日:合計25.3点(ドローン4.1点+ミサイル21点)

 2025年6月29日の攻撃は弾道ミサイル×11飛来10突破、巡航ミサイル56飛来×11突破、ドローン×477飛来41突破という戦闘結果で、弾道ミサイルがほぼ全て素通りした(パトリオット防空システムが展開していなかった場所とタイミングだった)という影響が大きかったと言えます。

最大の飛来数:2025年7月09日:合計741飛来

最大の突破数:2025年9月03日:合計75突破

最大の打撃量:2025年6月29日:合計25.3点

※打撃量は突破した投射量の数字であり、実際に被害が出た規模のことではない。

※打撃力換算(ミサイル1点、ドローン0.1点)という考え方はあくまで筆者の設定した簡易的な計算。単純にミサイルとドローンの弾頭重量の差を大まかに反映したもの。

※実際には開戦して最初期の頃にロシア軍のミサイル攻撃の猛攻を受けていた時期が最も打撃量が多かった筈だが、先制攻撃を受けて混乱の中でまともに被害集計している余裕が無かった時期なので、実態がはっきりしていない。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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