米国株式市場=S&P、約1年ぶり5000割れ 関税巡る譲歩の期待薄れる

米国株式市場は、S&P総合500種は約1年ぶりに5000ポイントを割り込んで取引を終えた。(2025年 ロイター/Mike Segar)

[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米国株式市場は、S&P総合500種(.SPX), opens new tabが約1年ぶりに5000を割り込んで取引を終えた。序盤の取引では上昇していたものの、トランプ大統領が打ち出す関税措置の延期や譲歩を巡る期待が薄れる中、下げに転じた。

序盤はトランプ氏が態度を軟化させたり、9日の関税発動を延期したりするのではないかとの期待から、S&Pが4%超上昇する場面もあった。

しかし、ホワイトハウスのレビット報道官は午後の記者会見で、約70カ国が関税に関する交渉の開始を目指しホワイトハウスに接触しているものの、トランプ氏は関税発動を想定していると述べた。また、中国に対する104%の関税を9日に発動させるとした。 もっと見る
米通商代表部(USTR)のグリア代表も、トランプ大統領の広範な関税に対する免除措置は短期的には想定されていないと言明した。 もっと見る

シムコープの投資決定調査担当マネジングディレクター、メリッサ・ブラウン氏は「市場は状況を楽観視したかったが、十分な理由がないことに気づいた」と指摘。「今後数日で決算発表が始まる。第1・四半期の業績がそれほど落ち込まなかったとしても、関税で予想される影響について各社から多くの発言が聞かれるだろう」と述べた。

今週はJPモルガン、モルガン・スタンレー(MS.N), opens new tab、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N), opens new tabが11日に決算を発表する。

S&P500は2月19日に付けた終値での最高値から19%近く下落し、弱気相場入りに近づいた。

投資家の不安心理を示す「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数(ボラティリティー・インデックス)(.VIX), opens new tabは一時36.48まで低下したものの、再び上昇に転じて52.33で終了。終値として2020年3月以来の高水準を記録した。
米国の強硬な関税を巡る懸念から、米連邦準備理事会(FRB)に対する利下げ期待が一部で高まっている。しかし、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は8日、経済と労働市場が堅調を保つ一方、トランプ大統領が表明した関税の規模や範囲に多くの不確実性があることから、利下げを急ぐ必要はないと述べた。 もっと見る
個別では医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループ(UNH.N), opens new tabが5.4%、ヒューマナ(HUM.N), opens new tabが10.7%、それぞれ上昇。政府が26年の「メディケア・アドバンテージ」について、民間保険会社への支払い率を5.06%引き上げると発表した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.03対1の比率で上回った。ナスダックでも3.49対1の比率で値下がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は234億5000万株。直近20営業日の平均は173億5000万株。

LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります ※米国株式市場

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