日経平均下げ渋り:識者はこうみる

 11月21日、日経平均は反落して寄り付いた後、1000円安の4万8800円付近で下げ渋っている。市場関係者に見方を聞いた。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[21日 ロイター] - 日経平均は反落して寄り付いた後、1000円安の4万8800円付近で下げ渋っている。寄与度の高いAI(人工知能)関連株の下げが押し下げている一方、「全体の地合いとしては、さほど悪くなさそうだ」(国内証券のストラテジスト)との声も聞かれる。

市場関係者に見方を聞いた。

◎AI相場の終焉意識、マクロで不透明感も

<みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト 中村克彦氏>

人工知能(AI)相場の終焉サインが意識され始めている。日米企業ともに、最高益の好決算ながら株が売られているということは、足元のバリュエーションの高さや年初からの急ピッチな上昇が意識されているからだろう。割高で上値が追えない、という市場関係者の空気感が漂っている。

ファンダメンタルズやマクロ面を巡っては、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測の後退に加え、日本の7─9月期の国内総生産(GDP)の6四半期ぶりのマイナスや財政悪化懸念、日中関係の悪化などの不透明要因も台頭してきた。

テクニカル的にはナスダック、日経平均ともに週足で陰線が3本連続で現れる「三羽烏」を形成しており、下降トレンドの転換も示されている。日経平均は年内に「高市トレード」が始まる前の水準の4万5000─6000円程度まで下落する可能性があるとみている。

◎AI株は過熱感冷ます局面、物色はバリュー株にシフトか

<三菱UFJアセットマネジメント エグゼクティブ・ファンド・マネージャー 石金淳氏>

米半導体大手エヌビディアの好決算という良い材料が出たにもかかわらず、前日の米ハイテク株は下落しており、やや危険なシグナルだった。市場がAI(人工知能)株の期待度を最大限織り込んでいるとすれば、ここから一段と上がっていくのは難しいのではないか。AI株が中長期でみて駄目というわけではなく、目先は過熱感を冷ます需給調整が入りやすいとみている。米国の利下げ期待が後退していることもハイテク株の重しとなっている。

日経平均は、指数寄与度の大きい銘柄にAI・半導体株が多いため、調整が深まるとすれば4万5000円程度まで値下がりする可能性もありそうだ。

物色面では10月末ごろから、グロース株からバリュー株へシフトする流れが確認されており、今後もセクターアロケーションが進みそうだ。ハイテク株の上昇が一巡する中で、高配当株やディフェンシブ株へ資金が向かうと想定している。

◎AI外し継続、目先はボラティリティー高まる

<大和証券 シニアストラテジスト 細井秀司氏>

米ハイテク株安となっており、エヌビディアの好決算をもってしても、AI(人工知能)関連株を外す流れが止まらなかった。エヌビディア株は決算発表前にある程度下げていたため調整一巡と期待したいが、半年ぐらい上昇してきたこともあり、来年の春先ぐらいまでかかる可能性はある。

米雇用統計は強弱入り混じっており、連続利下げできない状況になってきている。利下げで株価が持ち上げられるというストーリーに不透明感が出てきており、資金の行き場がなくなってきている。

米国から資金を分散する流れは継続するだろうが、米AI株が調整すれば日本株はつれ安しやすい。今後も米利下げへの思惑で相場は不安定になりかねず、当面はボラティリティーが高まりそうだ。

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