通算21勝目を挙げた鈴木愛 体重移動が減っても飛距離が変わらず安定感が増した理由は?【優勝者のスイング】

「ニトリレディス」にて、鈴木愛がトータル12アンダーで今季初優勝、ツアー通算21勝目を飾った。ジュニア時代からプロ入り後まで鈴木を指導していたプロコーチの南秀樹がスイング分析する。

「ニトリレディス」にて、鈴木愛がトータル12アンダーで今季初優勝、ツアー通算21勝目を飾った。ジュニア時代からプロ入り後まで鈴木を指導していたプロコーチの南秀樹がスイング分析する。

【連続写真】左右の体重移動が激減してもタメ&リリースで飛距離が落ちてない! 鈴木愛の豪快スイング

◇ 優勝を決定づけた17番のカラーからの1打など、パットに定評のある選手ですが、ショットにも強みがあります。ドローヒッターながら、フェードも簡単に打てて、曲がり幅や高さなど球筋もコントロールできる。コース攻略に必要な、多くの球種を打てるのです。 球をコントロールできるのは、フェースにボールを乗せるのが上手いからこそ。ダウンスイングからインパクトにかけて、左足の踏ん張りが申し分なく、体が粘ることができているので、ボールがフェースに乗る時間が長くなります。体の揺さぶりが以前より少なくなり、軌道がタテになったことも、コントロール性が向上している要因でしょう。基本に忠実でありながら、現在のトレンドに沿った進化を遂げていると思います。 体重移動やローテーションを抑えながらも、以前と変わらない飛距離を生んでいるポイントに、ダウンでタメを作れていることが挙げられます。このタメを作るには、下半身リードで切り返し、上半身はトップのまま手元が腰の位置まで下ろしてくること。そして、そこからはリリースすることがセットになります。タメができても、リリースできなければ手元が出て、さまざまなミスにつながりますから。 トップのまま手元を腰の高さに下ろすには、下半身リードが欠かせません。また、右ヒジを意図的に“絞らない”こともポイントです。プロの写真を見ると右ヒジを絞っているように見えますが、これは下半身リードの結果、トップの形のまま手元を下ろしているからで、勝手に“絞られている”というのが正しいのです。鈴木プロも、ジュニア時代に飛ばしたい気持ちが強くなると右ヒジを絞っていましたが、クラブが寝やすくなるのでミスも大きくなっていました。ヒジを絞ると、腕を使うのでスイングした“満足感”は得られるものの、結果は伴いません。トップのまま、脚でクラブを引っ張り下ろしましょう。 手元が腰の高さまで下りてきたら、いよいよリリースです。グリップエンドが左股関節を指すようにリリースすれば、クラブを目標へ投げていくことができ、ヘッドが加速します。左股関節のイメージで球が曲がる人は、クラブが外から下りてきて体が開いている可能性があります。切り返し以降、左体重で腰を回していけば、体は開かず、突っ込みもしないので、プレーン通りに下ろせますよ。 

■鈴木愛

すずき・あい/1994年生まれ、徳島県出身。2013年のプロテストに合格し、14年の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」にてメジャー初制覇。当時の大会最年少記録を樹立した。17年、19年に賞金女王を獲得。25年「ニトリレディス」にて通算21勝目を飾った。セールスフォース所属。■解説:南秀樹プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。◇

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鈴木愛のプロフィールドライバーがフェアウェイにいかない……。小祝さくらは「200%素振りで本番でも曲がらない」

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