ここから5年で「AIに奪われる仕事」は何か…「価値のある仕事ほど自動化されやすい」危機に晒される職種の名前(プレジデントオンライン)|dメニューニュース
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PRESIDENT Online 掲載
AIに仕事を奪われやすいのはどんな仕事なのか。マネックスグループ取締役でAI研究者、小説家でもある山田尚史さんは「自分はこれだけ難しい仕事をしているのだからしばらくは大丈夫だろう、と思う気持ちもあるかもしれないが、実は、難しく複雑な仕事から自動化されていくかもしれない」という――。※本稿は、山田尚史『きみに冷笑は似合わない。SNSの荒波を乗り越え、AI時代を生きるコツ』(日経BP)の一部を再編集したものです。
■価値のある仕事ほど自動化されやすい
ここからは、足下5年くらいの話をしていこう。これからの5年でAIがさらに普及していくことは疑いようがない一方で、AIに仕事を奪われるといっても、「自分はこれだけ難しい仕事をしているのだからしばらくは大丈夫だろう」と思う気持ちもあるかもしれない。だが、注意してほしいことがある。実はAIは、難しく、複雑な仕事から自動化されていくかもしれないのだ。
より正確に言えば、価値のある仕事ほど自動化されやすい、ということである。それがどれくらい複雑かという、複雑性の絶対値にあまり意味はなく、“自動化されたときの価値”を“自動化に必要な投資額”で割った、いわゆるコストパフォーマンスが高いものから自動化されていく。
その好例がプログラミングである。プログラミングは、とても複雑な頭脳労働だ。人が優秀なプログラマーとして独り立ちするには、何年もの学習と訓練を要する。だからこそ、それを自動化するなどという試みがどれだけ困難かは、考えるまでもない。一方で、ソフトウェア産業が世界中の市場に与えた影響を鑑みれば、それが自動化されたときの価値はほとんど無尽蔵と言っていい。価値が無尽蔵であれば、どれだけ自動化にコストがかかっても、そのコストパフォーマンスも無限ということになる(※1)。
※1 数学的には、無限を無限で割ったときの値が発散するとは限らないが、この例においては価値の方が大きいと考えられるからこそ、研究開発が進んでいる。
■AIに精通している者はより大きな生産性を手にする
多少誇張した表現となったが、実際、プログラミングの自動化には莫大な研究投資がなされている。Github のGithub Copilot、AWS のCodeWhisperer、Google のGemini CodeAssist、GitLab Duo のCode Suggestions などのコーディングアシストツールに加えて、最近ではCognitionのDevin、Google のJules、JetBrain のJunie といった自律的にシステム構築を行うAIエージェントも次々と発表されている。これらのAIエージェントは人間のプログラマーと同じように、日本語や英語といった自然言語で書かれた課題を解析し、コーディングやテスト、デバッグを行い、システムを自動で構築してくれるという。
ではプログラマーの仕事がなくなるかというと、そういうわけでもない。どう作るかはAIによって自動化できたとしても、何を作るかを決めるのは人間である。そして、AIをどう使うかは、AIに対する理解度、習熟度によって決まるから、AIの仕組みや使い方に精通している者は、より大きな生産性を手にすることになる。また、AIが作ったものが動かない、壊れているというときに、何が原因かを把握し、自分で修正したり修正の指示を出したりするスキルも必須と言えるだろう。だからプログラムへの理解は当然求められるのだが、しかしAIの利用によってコーディングの生産性が爆発的に伸びるのは間違いない。