先見性と応用力の高さに深い感銘 高円宮妃久子さま お言葉全文 先端技術大賞
「第38回 独創性を拓く 先端技術大賞」の授賞式で、高円宮妃久子さまが述べられたお言葉は以下の通り。
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本日、「第38回 独創性を拓く 先端技術大賞」の授賞式が盛大に開催されましたことを、心よりお慶び申し上げます。各賞を受賞されました皆さま、心よりお祝いを申し上げます。
先端技術分野の研究・開発は日進月歩であり、基礎研究を通じてさまざまな未知の素材や技術が生み出されております。それらは電子分野、量子技術、人工知能、通信ネットワークなどで実用化が進み、私たちの生活はより安全に、より快適になっています。医療分野においては、治療法や医療機器、薬品の開発へとつながり、私たちの健康を力強く支えております。これらの分野における日本の研究・開発の水準は常に高く、世界から高く評価されていることはまぎれもない事実であり、うれしい限りです。
そのような中で今回も、学生および社会人の若い研究者の皆さまが、斬新な着想と、それを具現化しようとする力強い信念と情熱の成果を見事に示されました。
学生部門では、通信技術分野における高速かつ大規模な同時多接続を可能にする技術をはじめ、硬いロボットでは難しかった作業を可能とするソフトロボットの開発、二次電池や燃料電池などのバッテリーの長寿命化など高性能化に資する技術、また、食中毒を予防するための光学技術を用いた解析方法など、私たちの生活を支える希望に満ちた論文が多数見られました。
社会人部門では、長時間の映像データから必要な情報を的確に抽出する技術、高度な医療機器であるMRIの普及に向けた小型化装置の開発、新型コロナウイルスを高速で不活性化することを念頭に置いた素材の開発など、さまざまな社会課題の解決に貢献する産業応用の進歩が顕著に見られました。
勇気をもって試行錯誤を重ね、粘り強く研究・開発に取り組む皆さまの姿勢は称賛に値するものであり、新たな技術を生み出す先見性と、それを社会に活かす応用力の高さに深く感銘を受けました。科学技術立国として、人々の暮らしや安全・安心・健康に資するこれらの技術が、日本から世界へと広がり、多くの分野に恩恵をもたらすことを期待しております。
本日ここにご出席の皆さまには、将来を担う研究・開発の重要性を、優れた人材の育成を通じて未来へと継承していただき、気高い心と精神を備えた人を育んでくださいますようお願い申し上げます。
皆さまの研究・開発がさらなる高みへと発展し、今後ますますご活躍されますことを心より祈念いたしまして、式典に寄せる言葉といたします。おめでとうございます。