日銀のタカ派的シグナルで円は一段高も、海外ストラテジストらが予測

Marcus Wong、Winnie Hsu、Matthew Burgess

日本銀行が政策金利を0.5%に引き上げた上で、さらなる金融緩和度合いの調整を続けるタカ派的なシグナルを発したことで、海外のストラテジストらは外国為替市場で円がさらに上昇する可能性があるとの見方を示した。

関連記事:日銀が17年ぶり0.5%に利上げ、今後は予断持たず毎回会合で判断と総裁

【ストラテジストやアナリストの見方】

ロンバード・オディエ・シンガポールのシニアマクロストラテジスト、ホーミン・リー氏

  • 日銀は以前は重要なハードルと考えていた0.5%の水準を上回る追加利上げを数回実施するだろう
  • 日銀の政策正常化と日本の堅調なファンダメンタルズにより、ドル・円の上値は160円付近で頭打ちとなり、1年後には対ドルで円が小幅に上昇する展開になるだろう

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのアジア太平洋担当シニアマーケットストラテジスト、ウィー・クーン・チョン氏

  • 日銀の利上げは円高を支えるもので、ここからさらに円高が進む可能性が高い
  • 植田和男総裁がタカ派的な姿勢を崩さなければ、ドル・円はさらに下落する可能性がある
    • ドル・円の当面のテクニカルサポートは155円06銭付近

DBS銀行のストラテジスト、チャン・ウェイ・リアン氏

  • 他の中央銀行が緩和に転じているにもかかわらず、日銀は遅ればせながら金利引き上げに踏み切った
  • きょうの利上げがほぼ織り込み済みであるとしても、短期的には円高要因となるだろう
  • しかし、日銀の緩慢な利上げペースに加え、トランプ米大統領による貿易摩擦の可能性を考慮すると、ドル・円は160円まで回復する可能性がある

スカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケンのアジア戦略責任者、ユージニア・ビクトリノ氏

  • 日銀の利上げは既に織り込み済みであり、問題は次の利上げがいつになるかだ
  • 今後は植田総裁が期待値を管理していくことになる。昨年7月と同様、総裁が金融緩和の必要性を強調し、次回利上げまでの期間を長引かせれば、市場は再びドルロングに殺到しよう
  • しかし、インフレ期待の上方修正を考慮すると、植田総裁がハト派的姿勢を示すことは難しい。次回利上げは6月と予想する

ウェストパック銀行の通貨戦略責任者、リチャード・フラヌロビッチ氏

  • 少なくとも日銀は、消費者物価指数の改定に伴いややタカ派寄りの姿勢に転じていると考える
  • 同時に、引き続き上振れリスクが残っていることを示唆しており、予測が現実のものとなれば、さらなる緩和調整が予想される

インタッチ・キャピタル・マーケッツのシニアアナリスト、ショーン・キャロウ氏

  • 日銀の決定はタカ派的な予想の範囲内であると受け止められている
  • 声明の金融政策見通しに関する文言は、金利引き上げが継続するというのが彼らの基本的な想定であることを明確に示している
  • 注目に値する予測として、日銀が目標とするインフレ率は2026年までずっと2%以上と予測されている
  • ドル・円が154円95銭の50日移動平均を下回れば、昨年12月の米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀の声明発表前の水準まで急落する可能性がある
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