ブルックフィールドが雅叙園の一部所有権など取得-不動産投資を拡大

Lisa Du

  • 約2500億円で目黒雅叙園や岐阜県の物流用地を取得
  • 25年の日本での不動産投資額は前年上回る可能性-不動産部門責任者

カナダの資産運用会社ブルックフィールド・アセット・マネジメントはホテルや結婚式場、オフィスなどからなる複合施設「目黒雅叙園」(東京都目黒区)の所有権の一部を取得した。

  このほか、岐阜県南西部の安八町で東京ドーム2個分に相当する約9万3000平方メートルの物流施設用地も購入。両取引の総額は16億ドル(約2500億円)に上る。ブルックフィールドの東アジア不動産部門の責任者でマネージング・ディレクターのアンドリュー・バーチ氏が明らかにした。

  バーチ氏はインタビューで「日本での事業をさらに拡大していく方針だ。2025年の投資計画はかなり充実している」と話した。これら2件の取り引きは昨年末に実行された。25年の投資額は16億ドルを上回る可能性が高く、物流施設や複合施設、ホテルなど観光関連の資産にフォーカスする予定だと話した。

  円安と低金利を追い風に海外投資家は近年日本国内で不動産投資を活発化させている。さらに、30年ぶりのインフレや訪日旅行客の増加傾向もあり、ホテルやマンションへの投資に対する関心が高まっている。

  雅叙園を巡っては中国政府系ファンド中国投資(CIC)と米不動産運用会社ラサール・インベストメント・マネジメントが15年に森トラストから約1400億円で取得していた。CICの広報担当はコメントを控えた。ラサールにもコメントを求めたものの回答は得られなかった。

  バーチ氏によるとブルックフィールドが雅叙園のアセットマネジメントを引き継ぎ、ホテルやオフィスの共用部改修にも資金を投じる。取得した持ち分割合や取得後の出資者構成についてはコメントを控えた。また、岐阜県で取得した物流用地には約3億ドルを投じ22万平方メートルの倉庫を27年初頭までに建設することを計画している。

  このほか、ブルックフィールドは純資産価値に対して割安に取引されている不動産投資信託(J-REIT)や、非上場型の私募リートと取引する機会も見込む。東京に4人の不動産投資の担当者を置いているほか、中国やシンガポールなど他の拠点の社員も日本国内の案件に取り組んでいるという。

  米不動産・投資管理会社ジョーンズ・ラング・ラサールによると、24年1-9月期の国内不動産投資額は前年同期比で40%増加。昨年全体では5兆円に達する見込みだ。国内外の投資家の動きは今年さらに活発化することが予想されている。

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