ECB、24日会合はトランプ関税の影響見極めが鍵-経済データを精査
欧州中央銀行(ECB)は24日の政策委員会会合で、トランプ米大統領による関税やその他の地政学的混乱に対し、ユーロ圏経済が耐えられているかを見極めるため、経済データを精査する予定だ。通商面での先行きが依然不透明な中、投資家は各種経済指標にも注目する必要がある。
今週発表の経済指標には、銀行貸出調査や7月の企業活動の速報値などがあるが、ECBの利下げ休止方針を変えるには至らないとみられている。ただ、9月の会合で追加措置が必要か、金融緩和の局面がすでに終了したのかを判断する材料にはなる。
ゴールドマン・サックスの欧州チーフエコノミスト、ヤリ・ステーン氏は「データによって、土壇場で利下げに傾く可能性は低い」とした上で、「もし景気の弱まりが見られれば、追加緩和の可能性を残す理由が強まる」と述べた。
利下げサイクル
ECBは昨年6月から8回にわたり利下げし、中銀預金金利は2%まで引き下げられた。ラガルド総裁は6月、「利下げサイクルは終盤に近づいている」と述べた。ECB当局者らは、金利が景気を過度に刺激も抑制もしない中立水準にあることから、高まる不確実性の中でも静観できるとみている。
政策金利が経済にどのような影響を与えているかを示す重要な指標の一つが、22日に発表されるECBの四半期貸出調査だ。トランプ氏が4月に大規模な関税を表明して以降、初めての調査となる。
リスクの高まりを懸念し、前回の調査では銀行側が融資基準の厳格化を報告していた。ECBのシュナーベル理事は、借入コストの低下により住宅ローン需要が増加しているという刺激効果が、前回調査で確認されたと述べている。
HSBCのエコノミスト、ファビオ・バルボーニ氏は、今回の調査で、関税や地政学的不安がECBの政策伝達にどう影響しているかが明らかになると指摘した。「外部要因にもかかわらず、信用環境が大きく改善していれば、すでに緩和的な金融環境にあるというシュナーベル氏の主張に説得力が増すだろう」と述べた。
見方にばらつき
6月の前回会合以降に出された発言からは、経済に対する懸念の度合いに委員会内でもばらつきがあることがうかがえる。
政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス銀行総裁は、成長への逆風と、インフレ率が長期にわたって2%を下回るリスクがあるとして、追加の利下げに前向きな姿勢を示している。
一方で、企業や家計の底堅さを強調する当局者もいる。シュナーベル氏は、追加措置に対するハードルは「非常に高い」と述べている。
実際、今年1-3月期(第1四半期)の経済は予想を大きく上回る力強さを見せた。ただ、米国の関税を受けた駆け込み需要の効果が薄れるにつれ、デギンドスECB副総裁は、第2、3四半期の成長は「ほぼ横ばいになる」と警告している。
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