「Zoom」はオフィスで使え――出社しない従業員に効く新常識(TechTargetジャパン)
全ての企業が、テレワークだけで事業を運営できるわけではない。テレワークとオフィスワークの適切なバランスを模索する中で、それらの2つの働き方を組み合わせる「ハイブリッドワーク」が現実的な選択肢になっている。とはいえ、テレワークの快適さに慣れた従業員に、たとえ週に2、3日であっても、出社を促すことは容易ではない。 経営層は、従業員をオフィスに呼び戻すためのさまざまなアプローチを検討している。その一つが、チャットやWeb会議などのコラボレーション機能を集約した「ユニファイドコミュニケーション(UC)ツール」だ。UCツールによってオフィスでの共同作業が効果的になれば、従業員が出社することに意義を感じるようになる可能性がある。 UCツールがテレワークに欠かせないことは周知の事実だ。今、IT部門を統括する経営層に求められているのは、「オフィスでのコラボレーションを改善する」というUCツールの新たな可能性を見極めることだ。本稿は、オフィス回帰を推進するUCツールの役割を、3つの視点から考察する。
役割1.オフィスでこそ真価を発揮する機能がある UCツールが提供する機能は、基本的にはオフィスの中か外かで使い勝手は変わらない。そのため、UCツールを導入するだけでは、従業員をオフィスに呼び戻す決め手にはなりづらい。だがオフィスという物理的な空間は、直接的な対話や深い関与を通じて共同作業を活性化させる点において、他の場所にはない大きな利点を持っている。 企業は、高性能なオーディオビジュアル(AV)機器を備える会議室など、オフィス体験の魅力向上に投資してきた。このような個人の自宅では再現が難しい空間は、UCツールの多彩な機能を最大限に活用する絶好の場になる。チームメンバーが同じ空間に集まってUCツールの機能を利用すれば、個々のPCやスマートフォン越しでは得られない没入感が生まれ、互いのつながりをより強く感じられるようになる可能性がある。 ドキュメントのリアルタイム共同編集や、AI(人工知能)モデルを搭載したチャットbotとの対話を通じて、その場で新たなアイデアを生み出す活動を考えてみよう。UCツールは、従業員がどこにいてもこうした共同作業を可能にするが、オフィスでの体験はさらに充実したものになる。高性能なAV機器を利用できるだけではなく、同じ空間にいるチームメンバーの熱意や一体感を直接感じられるという利点があるからだ。 役割2.特別なイベントへの参加を促す UCツールの中には、数百人規模の参加者とオンラインミーティングを開催できる機能を搭載するものがある。こうした機能を利用すれば、ウェビナーや全社配信といった一般的な使い方にとどまらず、部門の垣根を超えた大規模な共同作業も実現可能だ。 テレワーク中心の従業員にとって、同僚と直接顔を合わせる機会は限られている。だからこそ、普段の会議とは違う、より多くの従業員が参加する「特別感のある対面イベント」は、オフィスに足を運ぶための絶好の動機付けになり得る。 UCツールの大規模ミーティング機能は、新たな社内交流のきっかけを作るツールとして活用できる。「機会があればイベントに直接参加したい」という従業員の潜在的な気持ちに応えて大規模イベントを開催することは、従業員をオフィスに引き付けるための取り組みとして実践可能だ。 役割3.経営層との協業機会を創出する オフィスワークがもたらすメリットの一つに、「経営層と直接協業する機会」がある。これはキャリア向上を目指す従業員にとっては価値あるものだ。上司と同じ空間にいることは、チームの一員として企業に貢献できる人材であることをアピールする機会になる。テレワークでもある程度の自己アピールは可能だが、職場で良好な人間関係を築くには、やはりオフィスが不可欠だ。 ITに詳しい従業員がオフィスにいれば、経営層にUCツールの高度な機能を使ってもらうことで、全社に共同作業を促し、生産性を高めるきっかけを作れる可能性がある。IT部門にとって、経営層のITリテラシー向上を支援することは重要だ。経営層にとっても、自らがUCツールを使いこなせるようになることは、テレワーカーに対してリーダシップを示して企業の一体感を高めると同時に、オフィスでの共同作業をより円滑に進めることにもつながる。 UCツールは、社内のコミュニケーションやキャリア形成を活性化させる取り組みを通じて、オフィス回帰を後押しする。経営層と直接交流することで、従業員はキャリア形成のヒントを得たり、将来のリーダーになるための成長機会を見いだしたりできる。経営層と対面で、直接関わりを持つこと自体が、従業員の出社の動機になり得る。在宅か出社かといった勤務場所、一般職か経営層といった立場を問わず、あらゆる従業員のための共通ツールとして、UCツールは企業のオフィス回帰戦略を陰で支える存在になる。 本記事は米国Informa TechTargetの記事「How UC can support the return to office」を翻訳・編集したものです。一部、翻訳作業に生成AIを活用しています。
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