2028年、OpenAIは740億ドル赤字で、Anthropicはプラマイ0?(ギズモード・ジャパン)
最近、約2000億ドルの評価額で投資家から資金調達を行なったAnthropicは、企業顧客から、サブスクライバーの基盤を淡々と積み上げてきました。今月はじめのWSJの報道によると、Anthropicの収益の約80%は企業クライアントから来ており、その顧客数は30万件を超えているといいます。 一方のOpenAIは、企業クライアントが約100万件存在し、企業が確保しているアカウント枠は合計700万件以上にものぼると主張。しかし、WSJいわくOpenAIがそうしたサブスクリプションから得ている利益は、Anthropicのそれよりはるかに小さいとのこと。こうした背景を踏まえると、OpenAIは明確な収益化の道筋を開拓するまでは、慎重に資金を使っていくことが考えられます。 ところが、実際には同社はデータセンターの構築やモデル学習を支えるチップの確保などに全力を挙げている模様。 また、いずれユーザーから利益を得られると考えてか、動画生成モデルへの投資も勢いをもって臨んでいます。今週初め、Forbesは、同社の動画生成モデル「Sora 2」は1日あたり約1500万ドルのコストがかかっており、これは年間換算で50億ドルに相当すると報じました。
こうしたOpenAIのアプローチは、金利ゼロ時代(ZIRP)のビッグテックに近いもののように思えます。当時の企業は、金利ゼロ「タダ同然」で資金調達ができたため、赤字を出しても気にしませんでした。このような政策は、低価格をウリに顧客を囲い込み、市場を独占したのちに条件を釣り上げるUberのような戦略へと繋がっていきます。 OpenAIがUberのような戦略に成功するかどうかは定かではありませんが、同社は可能だと確信して動いているようです。WSJによると、OpenAIの内部文書では急速に拡大する収益基盤が示されており、2030年には黒字転換するとしているようです。 もっとも2030年は、8年をかけて取り組むデータセンター構築計画の折り返し地点を過ぎたころ。最終的な黒字に到達するまでに、OpenAIはAnthropicの14倍の金額を消費することになるとされています。 ここで問題になるのは、Anthropicや他のAI企業もOpenAIの巻き添えになる可能性があること。OpenAIの動きは、AI分野の中心的な他企業とも強く結びついているため、失敗すれば大規模なドミノ倒しにつながるかもしれないのです。 こうしたことを踏まえると、OpenAIが政府からの財政保証を求めてロビー活動をしているのも不思議ではないと言えるでしょう
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