米短期債ETFに投資マネーが殺到、リセッション懸念で避難先に

Vildana Hajric

  • トランプ氏政策がリセッション懸念や株安を促していることが背景
  • 混乱期に投資家は満期の短い債券など変動が小さい資産にシフト

安全な避難先を求める投資家が、米超短期債に投資する上場投資信託(ETF)に資金を投じている。トランプ米大統領の経済政策がリセッション(景気後退)懸念や株安を促していることが背景にある。

  今年に入りこうしたETFは、160億ドル(約2兆3500億円)余りの資金流入を記録。このうち、iシェアーズシリーズのファンド(SGOV)に70億ドル超の資金が流入した。ブルームバーグのデータによると、同ファンドの資金流入額は先週だけで14億ドルと、過去最高に達した。

  SPDRシリーズのファンド(BIL)は32億ドルの投資資金を取り込んできた。このうち約半額が、先週の流入分となる。

  トランプ氏による主要貿易相手国との関税戦争拡大や、連邦政府職員のレイオフ、軟化する経済指標を背景に、投資家心理は悪化し、株式市場の売りが加速。同氏が大統領戦に勝利してからのS&P500種株価指数の上昇分は帳消しとなった。

  債券トレーダーが米景気失速リスクを指摘する中、金融政策に敏感な米2年債利回りはここ数日急低下。 投資家は足元で米金融当局が景気刺激のため6月までに利下げを再開すると見込む。こうした混乱期、投資家は満期の短い債券など変動が小さくリスクが低めの資産にシフトする傾向がある。

  22Vリサーチの社長兼チーフ・マーケット・ストラテジスト、デニス・デブシェール氏は、「リセッションのリスクが高まっている」と指摘。投資家は超短期債に投資するETFに資金を移しているとの見方を示した。

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原題:Short-Term Bond ETFs Rake in Billions Amid Recession Alarm Bells(抜粋)

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