台湾総統、米に「関税ゼロ」提案へ 企業の投資増や輸入拡大も

台湾の頼清徳総統は4月6日、相互関税を巡る米国との協議で関税を互いに撤廃することを提案するほか、台湾企業が米国への投資を増やすと表明した。3日、台北で撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)

[台北 7日 ロイター] - 台湾の頼清徳総統は7日、米国との協力によって米台関係が「繁栄を共有する黄金時代」を迎えるとXに投稿した。台湾は米国に対して報復関税を課さないと改めて強調した。

「台湾は米国に対する報復関税を求めない。代わりに米台間の関税をゼロにすることから対話を始める」と表明した。「台湾の競争力を確保するため、米国からの輸入を増やすなどの措置を講じる。共に協力し、繁栄を共有する黄金時代を先導する」と訴えた。

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頼氏は6日、相互関税を巡る米国との協議で関税を互いに撤廃することを提案するほか、台湾企業が米国への投資を増やす考えを明らかにした。

頼氏は中小企業の幹部と面会。総統府がその後発表した動画で、貿易に依存する台湾の経済が関税対応に苦労するのは避けられないが、影響を最小限にできると指摘した。「米国・カナダ・メキシコの自由貿易協定を参考に、台米間で関税ゼロを前提に交渉をスタートできる」と述べた。

また、台湾が報復関税を講じる計画はなく、台湾の利益になる限り企業の対米投資方針も変更はないと述べた。台湾の半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabは先月、米国に1000億ドルを追加投資すると発表した。

頼氏は「今後、TSMCの投資拡大に加えて、電子機器、情報通信、石油化学、天然ガスなどの産業も対米投資を拡大し、台米産業協力を深めることができるだろう」と語った。

さらに、農業、工業、エネルギー分野で米国からどのような大規模な購入ができるか内閣が検討中で、国防省はすでに武器購入計画を発表したと述べた。

また、非関税貿易障壁も積極的に解決する考えを示した。

<5日にはテック企業幹部とも面会>

頼氏はこれに先立つ5日にはテック企業幹部とも面会。台湾の国際競争力を確保し、台湾の利益を守ることを約束した。

発表文ではどの企業の幹部と面会したかは明らかにされなかったが、台湾メディアによると、半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabと電子機器受託生産大手の鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW), opens new tabの幹部らが出席した。

両社からはコメントを得られていない。

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Ben joined Reuters as a company news reporter in Shanghai in 2003 before moving to Beijing in 2005 to cover Chinese politics and diplomacy. In 2019 Ben was appointed the Taiwan bureau chief covering everything from elections and entertainment to semiconductors.

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