Nintendo Switch 2は非公式ドックを排除。新たな認証でサードパーティを締め出しか

Nintendo Switch 2は、今のところ(外付けカメラ以外は)任天堂公式ではないサードパーティ製のドックやアクセサリーを使用できないことが広く知られています。実際、任天堂が意図的に、非公式のUSB-C対応製品をブロックしていることが確認されました

初代Switchでは、自宅を離れて旅行する際に、コンパクトな非公式ドックを持ち歩いてテレビに接続する使い方が定着していました。しかし、Switch 2ではその方法が封じられ、かさばる純正ドックを旅先に持っていく必要があります

テックメディアThe Vergeの情報筋によると、Switch 2には新しい種類の暗号化チップと仕組みが導入されているそうです。実際に2つのアクセサリーメーカーに取材したところ、これが事実であると確認できました。

通常、ゲーム機をドックに接続すると、一連のコマンドによってビデオ出力や給電が行われます。

しかし今回の調査では、Switch 2では30以上もの独自の「非構造化」コマンド(規則性がなく解析や模倣が難しいもの)がやり取りされ、正しい認証が成立しないとビデオ出力や給電が行われないことが分かりました。つまり「任天堂ハード同士の合い言葉」を知らなければ接続を拒否される仕組みです

例外的に、Antank S3 Max(SiWiQU TV Dock Station)だけは公式ドックとほぼ同等の認証プロトコルを再現できており、現時点ではほぼ問題なく動作しているようです。Antankは「チップの供給元に確認した」として、認証キーを把握しているとみられます。

ただし、公式ドックはファームウェア更新に対応しているため、将来的に独自プロトコルが変更されることもあり得ます。Antank側も「今後のファームウェア更新で認証キーが変更されれば動作しなくなる可能性がある」と認めており、長期的な互換性は保証されません。

さらにSwitch 2本体は20Wという高電圧を要求しますが、初代Switch向けの非公式ドックの多くは15W程度しか出せず、この時点で排除される仕組みになっています。とはいえ、常に20Wで動作しているわけではないため、これも認証として機能しているようです。

こうした状況は、多くのアクセサリーメーカーにとって想定外だったようです。たとえば約130インチ相当の大画面映像を投影できる軽量メガネ型ディスプレイ「Xreal One」は当初、Switch 2対応を表明していましたが、Switch 2の仕様変更が明らかになった後に「技術的な調整では対応できず、Switch 2専用の新モデル(Xreal Neo)が必要」と方針を転換しました

おおむねサードパーティ各社では、任天堂が今後のファームウェア更新でさらに制限を強化する可能性が高いと見ています。現在市場に出回っているUSB-CドックやハブはSwitch 2に対応できる見込みがほとんどなく、Switch 2対応と謳っている製品は信用できないと考えてよいでしょう

Switch 2本体の動作も不安定、公式ドックも改良の余地あり

写真:ロイター/アフロ

任天堂がサードパーティ製品を締め出している背景については、非正規ドックや粗悪なアクセサリーによって本体故障やサポートコストが増加するのを防ぐため、やむを得ないとの声もあります。実際、初代Switch発売直後にも一部サードパーティ製品によって本体が破損した事例があり、ある程度は理解できます。

一方でSwitch 2本体については、日本のユーザーを中心に「過熱」や「ファンの騒音」に関する苦情が相次いでいます。冷却ファンが最大回転で大きな音を出し、自動でスリープモードに入るといった問題です。

『龍が如く0』や『サイバーパンク2077』といった高負荷なSwitch 2専用タイトルだけでなく、『ポケモン スカーレット・バイオレット』や『スプラトゥーン2/3』といった従来のSwitchタイトルでも同様の症状が報告されており、本体の熱処理がまだ不安定であることがうかがえます

またSwitch 2の公式ドックは、テレビ接続時に4K解像度や最大120fpsの高画質出力に対応していますが、VRR(可変リフレッシュレート)は利用できません。任天堂は当初、米国やカナダの公式サイトでVRR対応を謳っていましたが、現在ではその記述を削除しています

ところがSteam DeckやAsus ROG Ally Xなど、他社の携帯ゲーム機をSwitch 2の公式ドックに接続すると、VRRが最大120fpsで動作したという報告があります。つまり、ハードウェア的な制約ではなく、任天堂がソフトウェアで意図的に制限している可能性が高いと考えられます。

これらを総合すると「まだSwitch 2本体も公式ドックも動作が不安定、一部機能を封じて安全運転しているなか、非公式のアクセサリーを繋いで故障を起こされてはたまらない」という任天堂側の思惑もうかがえます。今後のファームウェア更新でさまざまな問題が解決することを期待したいところです。

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