株式市場に売りシグナル、投資家の現金保有率が危険水準に-BofA調査
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が毎月実施する調査によると、世界中のファンドマネジャーが保有する平均現金比率は、3.7%に低下した。高騰するテクノロジー株の評価額への懸念が高まる中、株式市場にいわゆる売りシグナルが点灯したことになる。
現状の現金保有比率は、2002年以降でわずか20回しか見られていない水準だ。ストラテジストのマイケル・ハートネット氏はリポートで、この水準に達した後の1-3カ月間、毎回株価は下落し、米国債がアウトパフォームしたとしている。
世界株の指標MSCIオールカントリー・ワールド指数は今年17%上昇しており、投資家が人工知能(AI)関連株のバブル懸念を抱える中、株式市場にはすでに緊張が走っている。S&P500種株価指数は10月のピークから約3%下落しており、スワップ市場は12月の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを後退させている。
調査によると、投資家の株式保有割合は2月以来の高水準にある。ハートネット氏は「12月の利下げがなければ、市場はさらに調整する。現在のポジションはリスク資産にとって追い風ではなく逆風だ」との見方を示した。
投資家が経済成長の見通しを見直す中、テック大手はAIへの巨額投資を続け、金融市場全体で圧力が増している。JPモルガン・チェースのダニエル・ピント副会長は18日、AI関連銘柄の評価額が再考される時期が来ており、株価下落が株式市場全体に波及すると警告した。
BofAの今回の調査では、潜在的なAIバブルが最大のテールリスクと位置付けられた。また投資家は20年ぶりに「企業が過剰投資している」との見方を示した。回答者の約42%は、来年最もパフォーマンスが良い資産クラスを国際株式と予想し、米国株が首位になるとの見方は22%にとどまった。
調査は7ー13日、運用資産総額4750億ドルの市場参加者172人を対象に行われた。
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原題:Stocks Face Sell Signal as Cash Holdings Decline in BofA Survey(抜粋)
— 取材協力 Michael Msika and Sagarika Jaisinghani