スマホが突然"圏外"になるロシアの惨状…プーチンが自画自賛した「デジタル大国」が完全に裏目に出たワケ(プレジデントオンライン)

ウクライナ侵攻後も、一見して平穏な暮らしが続いてきたロシア。だが、ここに来て、人々の生活水準は悪化している。海外メディアの報道によると、物価高騰の影響を受け、店頭に並ぶバターは品質基準を満たさない偽物が横行。スマホのネット通信は頻繁に遮断され、プーチン大統領の進めたデジタル化戦略が裏目に出ているという――。 【写真をみる】スマホを使う若いロシアの女性たち ■約3人に1人が食料の購入に苦労  ロシア国民の台所事情は、日ごと厳しくなるばかりだ。  米ギャラップ社が今年10月に発表した世論調査によると、戦時経済による好景気ムードは縮小。地域の経済状況が良くなっていると答えたロシア人の割合は、48%へと低下した。2023年には56%だったが、わずか2年で8ポイントの低下となった。  悪化していると答えた人は39%に達し、両者の差はわずか9ポイントにまで縮まっている。新型コロナウイルスのパンデミック初期を除けば、これほど多くの国民が経済悪化を訴えた年はない。  ロシア経済は侵攻初期に後退し、その後2023年と2024年に4%超の成長を記録した。だが、ギャラップによれば2025年の成長は急激に鈍化する見通しだ。  インフレ率は中央銀行の目標の2倍を超える8%超で推移。さらに戦争経済の脆さは無視できず、国防部門が労働力と政府の歳入の大部分を吸い上げている。  家計への打撃は避けられない。同調査によると、過去1年間に食料の購入に苦労したと回答したロシア人は、今年31%に上った。  安くお腹を膨らませる心強い食材だったジャガイモの価格は、2024年以降167%も跳ね上がった。その結果、最も貧しい下位20%の層に影響が直撃。他の所得層の約2倍にあたる割合が、経済こそがロシアの最大の問題になったと答えている。 ■バターはもはや贅沢品になった  働き盛りの労働力を戦時物資の生産に回すロシアでは、戦争経済下で物価が高騰。ロシア国民の食卓を直撃し、バターでさえ贅沢品となった。  フィンランドのヘルシンキ・タイムズ紙が今年4月に報じたところによると、ロシアのロッセルホズナゾール(動植物検疫監督局)の調査により、昨年2024年にロシアで販売されたバター製品の実に25%近くが偽物だったことが判明した。  本来使用すべき乳製品の代わりに、非乳製品由来の脂肪、デンプン、食品添加物、そして「肉の接着剤」とも呼ばれる酵素のトランスグルタミナーゼが使われていた。  偽物はバター以外でも流通しており、その割合はチーズで16%、カッテージチーズで14%、粉ミルクで13%、サワークリームでは11%に及ぶ。ディクシ、マグニット、オーケーなどロシア最大手の小売チェーンを通じて広く偽物が販売されているという。  不正は初めてのことではない。同紙によると、ロシアでは2015年、クリミア併合後に西側が講じた食品禁輸措置の際にも同様の問題が起きていた。当時も乳製品の4分の1がバターにあるべき品質基準を満たしていなかった。

プレジデントオンライン
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