市況 - 株探ニュース
株式評論家 植木靖男
日経平均株価は8月に入って騰勢を強め、4万円処から8月19日には史上最高値の4万3876円まで一気に駆け上がった。意表を突く上昇であり、市場関係者はその理由として米国株の堅調、円安による企業収益の底堅さなどを挙げた。
市場関係者の多くは、年末に4万円前後の水準とみていたため、この上昇ぶりをみて4万5000円処に予想を引き上げざるを得なくなった。だが、こうした際は往々にして高値をつけやすい。 案の定、8月19日に目先的な高値を付けて、9月1日には4万2000円割れまで下げた。ここ半年ほど日経平均株価は下げても25日移動平均線を下値としてきた。この下値メドまで調整したことで、4万2000円処に位置する同線を巡って売り方、買い方による熾烈な攻防戦が繰り広げられたのだ。 結果はどうか? 9月4日、5日と急反発し、短期的には買い転換となった。だが、問題はこれからだ。米関税策による影響が間違いなく発生する。 目下の最大の株価材料は、急騰する物価への対応だ。帝国データバンクによると、2025年に値上げが見込まれる食料品は2万品目を超えるとされる。日本人の食の原点であるコメの価格急騰は他の食料品価格の引き上げにつながる。これを抑えるには日銀の利上げしかない。だが、日銀はあれこれ理屈を並べて利上げしない。なぜか。利上げによる一部金融機関への悪影響を恐れているからだ。 こうしたなか物価上昇が続く。他方では地価の上昇を背景に、企業の持つ不動産の含み益に注目するファンドの動きが活発化しているとも報じられている。まさに平成バブル時と同じだ。 すなわち、筆者は市場ではバブル相場の様相が見え隠れし始めており、いずれ顕在化するとみている。 ●短期投資で出遅れ材料株に照準 ただし、いまの段階ではバブル化するかどうかは定かでなく、個別でみてもそうした値動きは確認されていない。 では、当面の物色はどうみればよいのか。市場では内需株はすでにピーク圏にあり、来期2ケタ増益に転じる外需株がメインとみる向きも多い。ならば、内需、ハイテクに限定することなく、個別材料株が買われる段階にあるといえよう。 データセンター関連、防衛関連、市況関連などで材料性のある、かつ業績好転が見込まれる出遅れ株が当面の主役となりそうだ。そうこうしているうちに、日経平均株価が高値を突破する頃には、新たな相場の主役が明確になってくると判断したい。
であれば、中長期狙いの投資ではなく、当面は短期的な投資にとどめるべきであろう。時期的には9月いっぱいはこうした展開が続くとみている。さて、当面の物色銘柄だが、まず欧州の眼鏡メーカーによる出資比率引き上げ提案で久しぶりに動意をみせているニコン <7731> [東証P]。データセンター関連の出遅れのSWCC <5805> [東証P]。新製品発表を控えるアップル<AAPL>関連の日東電工 <6988> [東証P]、TDK <6762> [東証P]。
定番として投資しやすいのはソフトバンクグループ <9984> [東証P]。東京海上ホールディングス <8766> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]にも注目したい。
また、米価高が続く中、木徳神糧 <2700> [東証S]もマークしておくべきだろう。
このほか、東京ガス <9531> [東証P]、東宝 <9602> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]の3社も無視できない。
2025年9月5日 記 株探ニュース