ロシア、再進出狙う外国企業に厳しい要求検討-クリミアで事業要求も
ウクライナ侵攻を受けてロシアから撤退した外国企業の再進出をプーチン大統領は歓迎する意向を示しているが、赤じゅうたんで出迎えるわけではない。
プーチン氏は18日、モスクワで実業界幹部らに対し、ロシア事業を「投げ売り価格」で売却した西側企業が買い戻しオプションによって資産を安く取り戻すことを許してはならないと主張。政府はロシア事業を停止した外国企業のリストを作成し、「再進出に当たって誠実かつ責任ある行動の保証を義務づける手続きを策定する」必要があると論じた。
ロシア経済は、米国など主要7カ国(G7)が科した包括的な制裁に3年余り耐えており、ロシア企業の多くは競合する外国企業の再進出を望んでいない。プーチン氏は国内企業を優遇したいと述べ、「この立場から、外国企業のロシア市場復帰の問題を検討する」と約束した。
トランプ米大統領がここ数週間、ウクライナでの戦争を終わらせようとプーチン氏に働きかけていることから、投資家や外国企業の間でロシア再進出への楽観が強まっている。米ロの当局者は、北極圏の開発やガス取引、火星探査などさまざまな分野で共同プロジェクトを行う可能性を提起した。ただ、トランプ政権が関係修復に熱心な一方で、ロシアの当局者は戦争終結合意に基づき制裁が解除されるとしても、同国経済への外国による投資にそれほど乗り気ではない。
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市場が再び競争に開放されればロシアの消費者には恩恵があり、インフレ緩和も後押しされるだろうが、西側企業の退出で生まれた製品開発や販売の好機を国内企業が失うリスクを、当局者は注視している様子だ。
アリハノフ産業貿易相は2月20日、「われわれは両手を広げて誰かを待っているわけではない。その全て、行動の代償を払ってもらうことになる」と記者団に発言。外国企業の撤退は「発展の好機であり、手放したくない」と付け加えた。
戦争は通常、投資活動の大幅縮小をもたらすが、ロシアは近年、巨額の政府支出に後押しされて記録的な水準の資金をプロジェクトに投入。2023年の設備投資の伸びは13年ぶりの大きさだった。
Source: Tenderpro estimates
レシェトニコフ経済相は2月24日、ロシア企業とその投資を保護するため、外国企業には現地化や投資、技術移転で全く異なる要件を科すことになるだろうと記者団に述べた。
一部企業に対しては、クリミアやウクライナの占領地で事業を行う確約を求める可能性もあると、マントゥロフ第1副首相は語った。ロシアが2014年にクリミアを一方的に併合した後に米国と欧州は制裁を発動し、同地域で外国企業が事業を行うことを禁じている。
原題:Russia Mulls Tough Demands on Foreign Companies Eyeing a Return(抜粋)