米中、関税一時停止措置の延長巡り28日から協議-首脳会談への道模索

米国と中国は、8月中旬の期限を前に関税一時停止措置の延長に向け今月28日から協議する。貿易摩擦のさらなる緩和策を探る見込みだ。

  中国の何立峰副首相とベッセント米財務長官がそれぞれ代表団を率い、スウェーデンのストックホルムで29日まで話し合う。会談は3カ月足らずで3回目となる。

  議題には、現在の関税一時停止措置の延長に加え、合成麻薬フェンタニル問題に関連する米国の関税や制裁対象であるロシアおよびイラン産原油の中国による購入などが含まれる。

  米国は8月1日までに幾つかの貿易相手国・地域との貿易合意を急いでおり、こうした動きにより、企業が対米輸出に際して直面する関税の見通しが明確になると期待されている。

  ただ、中国との協議は別の枠組みで進められている。中国に課されている関税率は他国と比べてはるかに高く、米中間の貿易は非常に高コストとなっている。  

  ベッセント氏は先週、米中双方の高関税を90日間一時停止する「合意は8月12日に失効する」と述べた上で、「28、29日にストックホルムで中国の当局者と会う予定だ。そこで延長の可能性について検討することになるだろう」との見方を示した。

関連記事:ベッセント財務長官、日米交渉は順調-中国と来週通商協議へ 

  今回の協議で進展があれば、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が年内に韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に会談する道が開ける可能性がある。

  習氏は先月の電話会談で、トランプ氏とメラニア夫人を中国に招待しているが、具体的な日程はまだ決定されていない。

  こうした中、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は匿名の関係者の話として、米中が関税の適用一時停止期間を3カ月延長する見通しだと報じた。関係者の1人によれば、この延長期間中は両国とも互いに新たな関税を課さないという。

関連記事:米中、関税適用の一時停止期間を90日間延長へ-香港紙SCMP 

  米中貿易交渉の核心は、電気自動車(EV)やハイテク兵器などに使用されるレアアース(希土類)磁石を中国が握っていることと、人工知能(AI)に不可欠な先端半導体に対する米国の輸出規制だ。輸出規制を巡る攻防は貿易交渉における重要課題となっている。

  ユーラシア・グループのアナリストによると、中国企業が違法薬物の製造に使用される化学物質を供給しているという米国の主張によりトランプ氏が課した20%のフェンタニル関税の引き下げも中国政府にとって重要な優先事項という。

  中国はフェンタニルの流通に関与しているという米国側の主張を否定しているが、先月にはフェンタニル製造に使用可能な二つの化学物質に対する規制を強化した。

  ただ関係者によると、米国側はこうした中国の対応は国連の措置に沿ったものであり、不十分だと考えている。関係者は、今回の協議でフェンタニル関税の20%からの引き下げが実現する可能性は極めて低いとしつつも、トランプ氏の一存で変わる可能性もあると指摘した。

原題:US, China Negotiators Meet in Stockholm to Extend Trade Truce(抜粋)

関連記事: