アルファベット株上昇、世界時価総額順位変動も-エヌビディアを追撃
米アルファベットの株価上昇が、世界の時価総額ランキングに変動をもたらす可能性がある。エヌビディア製のAI用アクセラレーターに対抗する取り組みが進展しているとの見方から、アルファベット株は上昇している。
傘下グーグルの新たな人工知能(AI)モデル「Gemini」への高評価や同社のAI向け半導体需要の高まりが、アルファベットの株価を押し上げている。
投資家はテクノロジー業界の勢力図の変化や株式市場のリーダー交代を視野に入れつつある。
グーグルの親会社であるアルファベットの株価は10月中旬以降35%上昇し、その間に時価総額はほぼ1兆ドル(約156兆円)増加した。時価総額は24日終値時点で、エヌビディアの4兆4000億ドルに対し、約5900億ドル差に迫った。
メタ・プラットフォームズは2027年にデータセンターでグーグルの半導体、テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)を採用する方向で協議していると、ニュースサイトのジ・インフォメーションが関係者の話として報じた。
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スカーゲンの投資ディレクター、アレクサンドラ・モリス氏は「エヌビディアは爆発的な成長が見込まれるが、今後は競争が激しくなるのは自然な流れだ」と述べた。「データセンター拡張で必要なチップを供給できるのはエヌビディアだけという物語は終わった」と語った。
メタとの合意が実現すれば、TPUがエヌビディア製チップに代わる選択肢としての地位を確立する一助となる。エヌビディアのチップは、メタやOpenAIなど、大手テック企業やスタートアップ各社がAIモデルの開発・運用に必要とする計算能力を確保するための業界標準となっている。
アルファベット株は3営業日続伸が見込まれる。25日の米市場開場前の時間外取引で一時3.5%高となった。一方、エヌビディア株は3.5%下落し、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も3%下げた。
エヌビディアの株価バリュエーションは低下しており、予想利益の26倍で取引されている。過去10年間の平均は35倍。これに対し、アルファベットは予想利益の27倍まで上昇しており、10年平均の20倍を上回っている。
世界有数のデータセンターおよびAI開発への投資企業であるメタと合意する可能性は、注目に値する。エヌビディアの市場支配的な地位に長期的な挑戦が生じる可能性を示唆するものだからだ。
ただ、それはTPUが省電力性と十分な計算能力を実証できるかどうかにかかっている。
ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのマクロ責任者、フロリアン・イエルポ氏は「グーグルのTPUは有望な代替手段となり得るが、AI産業はいまだ初期段階にあり、習熟のハードルは依然として非常に高いことを忘れてはならない」と述べた。
さらに「現時点ではエヌビディアが依然としてリーダーの地位にあるが、グーグルをはじめとする他の企業が競合技術を開発するにつれ、市場環境は次第に細分化していくだろう」と語った。
原題:Alphabet’s Rally Threatens World’s Most Valuable Stock Standings(抜粋)
— 取材協力 Neil Campling, Nick Turner and Farah Elbahrawy