「Grok 2.5」、名ばかりの「オープンソース」化に批判の声

 企業は人工知能(AI)のオープンソース化を大げさに宣伝したがる。人々に良い印象を与え、世間知らずの開発者を喜ばせ、投資家から多くのお金を集められるからだ。だが、ちょっとした問題が1つだけある。その宣伝が事実ではないということだ。  「xAIの2024年の最強モデルだった『Grok 2.5』がオープンソース化された。『Grok 3』も半年ほどでオープンソース化されるだろう」と、Elon Musk氏は「X」(旧Twitter)への投稿で述べている。この発表に伴い、Grok 2.5のモデルの重み(ウェイト)が完全に公開された。「Grok 2」は「Hugging Face」からダウンロードできる。 Musk氏がこのような行動に出た理由  公言されていないが、その目的は人々を引き付け、競合モデルより「Grok」を採用してもらうことにある。これは古典的な「オープンウォッシング」だ。この言葉は、実際にはコードを公開していないものをオープンソースだと主張する行為を意味する。  表向きは、コードの透明性を高め、より幅広い開発者の参加を促すことを目指した取り組みの一環だとされている。誰かがコードを改良してくれれば、xAIはその改良されたコードを喜んで採用するだろう。当然ながら、これはどのオープンソースプロジェクトにも当てはまる話だ。だが、Grokのライセンスには以下のような記述がある。 本利用規約の条件に従って許可された範囲でGrok 2の修正や微調整に使用する場合を除き、いかなる基盤モデル、大規模言語モデル、または汎用AIモデルのトレーニング、作成、または改良にも、本資料、派生物、および(生成データを含む)出力結果を利用してはならない。  ある人物がY Combinatorにコメントしたように、この制限が意味するところは以下のとおりだ。 「これはオープン『ソース』ではない。ソースが公開されていないからだ」 「これは『オープン』ウェイトではない。利用に制限があるからだ」 「このモデルは重みが利用可能なだけだ。オープンな要素はどこにもない」  Grokのコードは、Open Source Initiative(OSI)が策定した「オープンソースAIの定義」(OSAID)は言うに及ばず、より広く受け入れられているオープンソースの定義も満たしていない。  この点について、OSIのエグゼクティブディレクターを務めるStefano Maffulli氏は次のように述べている。「利用に関して制限があるライセンスは、いかなるものであってもオープンソースの定義に準拠していない。オープンソースの定義やOSAIDに準拠しているモデルの好例は、Allen Institute for Artificial Intelligenceの『OLMo 2』モデルと『Molmo』モデル、そしてOSAIDのFAQで挙げられているモデルだ」 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan
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