ザポリージャ原発への米国の投資、「協議できる」-ゼレンスキー氏
- 所有権譲渡は否定も、投資の可能性に含み-電話会談で話題に
- ザポリージャ原発は原子炉全て停止、困難な状況とゼレンスキー氏
ウクライナのゼレンスキー大統領は、同国の原子力発電所を譲渡することはないと述べつつ、原発への米国の投資は拒まない姿勢を示した。
ゼレンスキー氏は20日、訪問先のオスロで記者団に対し、国内15カ所にある原発の所有権についてはトランプ米大統領との電話会談で話題にならなかったと発言。原発の管理は結局のところ、ウクライナにとって「安全保障の確約」を意味すると述べた。
この議論の中心にあるのは国内最大のザポリージャ原発で、ゼレンスキー氏は19日のトランプ氏との電話会談で同原発が話に上ったと説明していた。同原発はウクライナ南部にあり、ロシアが全面侵攻初期に制圧して以降、占拠を続けている。
電話会談に関するルビオ米国務長官とウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)の声明によると、トランプ氏はウクライナの電力供給と原発の運営支援を提案した。「これらの発電所を米国が所有するなら、インフラ保護には最善だろう」とも記されている。
発電所は国有であるため手放すのは違法行為だとゼレンスキー氏は指摘しつつ、「米国がロシアから取り返し、投資して近代化したいと考えているのなら、話は異なる」と述べ、「それにはオープンで、協議できる」と続けた。
ザポリージャ原発はもともとウクライナの電力需要の約2割を供給できるよう設計されている。だが、戦争開始以来、頻繁な空爆にさらされ、破滅的な事故が発生する可能性が警告されている。原発を管理するロシアのエンジニアは、安全対策として6基の原子炉を全て停止した。
ゼレンスキー氏は同原発が困難な状況にあり、冷却が必要だと訴えた。ロシアの仕業とされるカホフカダムの破壊で水の供給が減り、状況はいっそう厳しさを増した。
「トランプ大統領は状況をどう思うか聞いてきた」とゼレンスキー氏は記者団に語り、「ウクライナの所有でないなら、稼働することは全くないだろう、と自分は答えた」と明らかにした。
原題:Zelenskiy Says Open to US Investing in Nuclear Plants (1)(抜粋)