風邪からがんまで ゼロから分かる免疫Q&A 編集部
知っているようで知らない免疫をゼロから解説する。(構成=伊藤奈々恵・編集部)
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Q 免疫って何?
A 免疫は、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する防御システムだ。さまざまな免疫細胞が協力し、体を守っている。
Q 風邪で熱や喉の痛みが出るのはなぜ?
A ウイルスを見つけた免疫細胞は「炎症性サイトカイン」という情報伝達物質を分泌し、体に臨戦態勢を指示する。これが脳の体温中枢を刺激して体温が上がり、ウイルスを退治しやすくなる。また、炎症が起こり喉の痛みなども表れる。不快な症状だが、免疫が闘っている証しでもある。
Q ワクチンで感染症を予防できるのはなぜ?
A ワクチンとして投与されるのは、無毒化・弱毒化した病原体やその一部のたんぱく質、またはその遺伝情報だ。病原体やその一部を発見すると、免疫細胞はそれを「敵」と認識してそれを排除するとともに、一部の免疫細胞は記憶細胞として残り、再度同じ病原体が侵入した際、すばやく対処し感染や重症化を防ぐ。
Q 感染症以外の病気と免疫の関係は?
A 免疫が関係しているのは感染症だけでない。免疫に異常があると、自己免疫疾患やアレルギーが起こる。生活習慣病や老化にも免疫が関係していることが明らかになってきている。
Q 免疫と生活習慣病にどんな関係が?
A たとえば肥満。脂肪細胞が大きくなると、免疫細胞が集まり、炎症性サイトカインを分泌する。これがインスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを妨げ、糖尿病や脂肪肝、動脈硬化の原因になる。
Q 老化と免疫にどんな関係が?
A 加齢で免疫も老化し、病気になりやすくなる。また、免疫には、分裂・増殖しなくなった老化細胞を除去する働きもあるが、免疫が老化すると老化細胞を除去できなくなる。老化細胞が蓄積すると炎症が起き、糖尿病や動脈硬化、認知症などのリスクが高くなる。
Q 免疫細胞にはどんなものが?
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