フェルスタッペン、レッドブル残留へ―動けない、動かない? メルセデス移籍報道に終止符

メルセデスへの移籍が取り沙汰されていた4度のF1世界王者マックス・フェルスタッペンが、2026年シーズンもレッドブル・レーシングに残留する見通しとなった。これにより、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリに関するメルセデスの新契約も、まもなく発表される見込みだ。

解除条項とポイント情勢

フェルスタッペンは現在、2028年末までレッドブルと長期契約を結んでいるが、その契約には解除条項が含まれていることが判明している。詳細は非公開ながら、パドックでは「次戦ハンガリーGP終了時点でドライバーズランキング4位以下」という条件が存在すると広く考えられていた。

しかしながら、直近のベルギーGPでフェルスタッペンはスプリントで優勝し、ランキング4位のラッセルに対して26ポイント差をつけた。さらに翌日の決勝でも2ポイントを上積みし、来週末のハンガリーGP終了時点でランキング3位を維持することが事実上確定した。

もちろん、メルセデスが年俸70億円超とされる2028年までの残り契約を買い取るというシナリオも理論上は残されている。

だが、フェルスタッペン陣営に精通するオランダ人ジャーナリスト、エリック・ファン・ハーレンは、ベルギーGP後にレッドブル残留の見通しを報じた。仮に解除条項の発動条件が満たされたとしても、実際にそれを行使したかどうかは定かでないとし、フェルスタッペン側に離脱の意思は見られないとの見解を示している。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

シャルル・ルクレール(フェラーリ)とバトルするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年7月27日(日) F1ベルギーGP決勝レース(スパ・フランコルシャン)

フェルスタッペンの去就が固まったことで、停滞していたドライバー市場にも動きが出る見通しだ。メルセデスは近く、現ドライバーのラッセルおよび新人アントネッリとの新契約を正式に発表するものとみられる。

ラッセルはベルギーGP開幕前、契約交渉の進捗に「納得している」と語ったものの、同時に「まだ契約書が提示されていない」とも明かし、交渉の足踏みを示唆していた。

フェルスタッペンがメルセデス入りを選んだ場合、ラッセルがシートを喪失する可能性があったが、現状ではラッセルはメルセデスと契約を更新する公算が大きい。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

スプリントレースを前にグリッド上でエンジニアと話すジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年7月26日F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

2026年の残留が濃厚になったとはいえ、それはフェルスタッペンが2028年末までレッドブルに留まることを意味するわけではない。

興味深いことに、ベルギーGP後のインタビューでフェルスタッペンは、2026年に導入される新レギュレーションに向けた次世代マシン開発の重要性に言及し、残留の意思を匂わせた。

「今シーズンを通して、色んなことを学ぶのは大事だと思う。そういうのって来年にも影響するからね。来年のクルマはまったく新しくなるけど、今年のうちに取り組んでおけば、それを来年にも活かせる」

一方で、2026年よりレッドブルは、ホンダとのパートナーシップを解消し、初の自社製パワーユニット(PU)を搭載する新プロジェクトに挑む。この挑戦の成否が、フェルスタッペンの将来的な去就を大きく左右すると見られている。

複数の信頼筋によれば、レッドブルが自社製PUで大きく出遅れる事態に陥った場合、フェルスタッペンは2027年に向けて他チームに移籍できるとされており、2026年以降も、一定のパフォーマンス条件に応じて契約を解除できる条項が存在する可能性が高い。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝前のガレージ内で会話を交わすマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年7月27日(日) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)

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