ワーナー、AI企業Midjourneyを提訴(CNET Japan)
エンターテインメント大手のWarner Bros. Discovery(以下Warner)は米国時間9月4日、画像・動画生成AIを手掛けるMidjourneyを著作権侵害で提訴した。6月にDisneyとUniversalが同様の訴訟を起こしたのに続く動きだ。 【画像】AI生成画像と本物のキャラクターの比較 Warnerは、Midjourneyがユーザーに「バットマン」「スクービー・ドゥー」「バッグス・バニー」といったキャラクターを含む画像の生成を許可したことで、著作権を侵害したと主張している。 Warnerは訴状で「Midjourneyは自らが法を超越した存在だと考えている」と述べた。「Midjourneyは、自社による海賊行為と著作権侵害が驚くべき規模に達していることを知りながら、著作権保有者をまったく保護しないという、計算ずくで利益主導の決定を下した」 「Midjourney」は特に人気のAI画像生成サービスの1つで、誰でも簡単なテキストプロンプト(指示文)から画像や動画を生成できる。今回の訴訟の原告には、Warner Bros. Entertainmentとその子会社であるDC Comics、The Cartoon Network、Hanna-Barbera Productionsが含まれている。 訴状の中でWarnerは、Midjourneyが最近公開した動画生成モデルを、同社が著作権侵害と認識していた証拠として指摘している。訴状によると、Midjourneyは動画モデルを公開した最初の数日間、ユーザーがキャラクターを含むシーンをアニメーション化できないようにしていたという。この制限は最終的に解除されたが、Warner側はこれをMidjourneyが不正を認識していた証拠だと指摘している。Warnerはまた、Midjourneyが利用規約を更新し、テクノロジー企業らが安全性を評価するために用いるプロセスであるレッドチーミングを禁止したとも主張している。 DisneyとUniversalが6月にMidjourneyを提訴した訴状では、同社を「盗作の底なし穴」「教科書通りの著作権侵害」と非難している。Warnerの代理を務めるのは、DisneyとUniversalの代理として訴訟を起こしたのと同じ法律事務所だ。 Warnerの広報担当者は米CNETに対し、「われわれの事業の中核にあるのは、クリエイティブパートナーのビジョンと情熱に命を吹き込み、観客を楽しませるためのストーリーとキャラクターを開発することだ。Midjourneyは露骨かつ意図的に著作物を侵害しており、われわれは自社のコンテンツ、パートナー、そして投資を保護するためにこの訴訟を提起した」と語った。DisneyとNBCUniversalの広報担当者も同様の声明を発表している。Midjourneyにコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。 今回の訴訟は、AI時代において著作権が最も議論を呼ぶ法的問題の1つであることを改めて示すものだ。AIモデルのトレーニングに著作物が使用されているかどうか、そしてそれらのモデルが生成するコンテンツが法的な侵害の定義を満たすかどうかなど、AIによるコンテンツ生成のあらゆる段階に懸念が存在する。 パブリッシャーやクリエイターとAI企業との間でも、訴訟が進行中だ。AI開発企業のAnthropicとMetaは最近、2つの裁判で勝利を収めた。裁判所は、作家の書籍をモデルのトレーニングに使用することはフェアユースに当たるとの判断を下した。しかし、依然として多くの疑問と法的な不確実性が残っている。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。