2025年日本株、トランプリスク乗り越え最高値更新も-ストラテジスト
- 日経平均の目標中央値は24年の最高値上回る4万3000円
- 他のアジア地域の株価をアウトパフォームする可能性ーインベスコ
2025年の日本株は上昇が予想されている。日本銀行の利上げや米国のトランプ新政権の始動など、債券や為替に影響を与えかねない要因から圧力を受けながらも、コーポレートガバナンス(企業統治)改革や堅調な業績が相場を支えるとストラテジストらはみている。
ブルームバーグが実施した調査によると、日経平均株価は30年超ぶりの史上最高値更新や8月の相場急落などジェットコースターのような24年を経て、25年は中央値で4万3000円まで上昇する見込みだ。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、「日本株は25年中に史上最高値を更新する」と予想。「内需の強さが評価されることで、日本株は他のアジア地域の株価をアウトパフォームするかもしれない」と話す。
日本企業による株式持ち合いの解消や株主アクティビズムの拡大といった重要な変化が株式市場の追い風となる一方、日銀の追加利上げに対する慎重姿勢や円キャリートレードの再開リスクにより、円相場には引き続き下落圧力がかかる。
24年の日本株式市場の活況の鍵となったのは、日銀が緩やかな金融政策の正常化に踏み出したことと、アクティビスト(物言う株主)の急増だった。ただ、国内政治の変化によりボラティリティーは高止まりした。自民党中心の連立与党は昨年10月の総選挙で09年以来初めて過半数を失い、25年は夏に参議院選挙を控えている。
会社 TOPIX 25年末予想値 日経平均 25年末予想値 Citigroup 3,200 46,000 JPMorgan 3,000 43,000 SMBC Nikko 3,150 45,500 Morgan Stanley MUFG 3,000 - Goldman Sachs Group 3,100 - BofA Securities 3,050 43,500 Macquarie 3,200 - Okasan Securities 2,990 42,200 Invesco Asset Management 2,950 42,000 UBS Securities 2,900 41,500以下は、市場を動かす可能性がある25年の注目テーマだ。
コーポレートガバナンスとアクティビズム
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、アクティビストによる日本株投資は24年に140件を超えるなど活発化している。25年も資本効率の改善や株主還元の向上、合併・買収(M&A)の活発化に焦点を当てながら、株主アクティビズムがさらに加速する見通しだ。
MCPアセット・マネジメント・ジャパンの大塚理恵子ストラテジストは、資本の効率化など「株主目線で変えていこうという取り組みが行われていることは、海外投資家にとって非常にポジティブ」と話す。
金利
主要国の金融政策の違いは、為替および債券トレーダーに難題をもたらすだろう。多くの海外中央銀行が金融緩和を進める中、日銀は例外で、エコノミストの多くは25年に2回の追加利上げを予想している。
こうした点を踏まえて、多くのストラテジストは25年も金融セクターが有望とみる。TOPIX銀行業指数は24年に約47%上昇し、東証株価指数(TOPIX)の上昇(約18%)を上回るパフォーマンスを見せた。3メガバンクグループも日銀の利上げ効果や政策保有株の売却益により25年3月期の連結純利益予想を上方修正、3社合計で通期ベースの過去最高を更新する見込みだ。
一方、為替トレーダーは円に対し弱気に転じている。日銀が12月に政策金利を0.25%程度に据え置くことを賛成多数で決め、植田和男総裁が会見でハト派的な発言をしたため、市場では早期の追加利上げ観測が後退し、円安が加速した。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が25年の利下げペース鈍化を示したことで、市場では円の先高観が後退している。
債券市場では長期金利が緩やかに上昇するとの見方が多い。一部には09年以来の高水準となる1.5%を目指すとの予想もある。
トランプ大統領
トランプ氏の再登板で関税引き上げや米中関係の悪化が懸念される中、米国の通商政策は日本企業にとって大きな逆風となるだろう。日本の対中貿易総額は23年時点で3347億ドルと国別の最大で、米国との貿易総額2309億8000万ドルが続く。
もっとも、米モルガン・スタンレーの分析によると、日本企業が北米で稼ぐ収益の半分以上は米国で生産された商品やサービスからのものだ。米新政権の政策で半導体や自動車セクターには不透明感があるものの、関税圧力に対して日本企業は耐性を見せる可能性がある。