LUUPに直撃! 電動キックボード違反4万件超、制度の甘さが招いた“制度不備の実態”

 2023年に規制がゆるくなって、街中で急激に増えた特定小型原動機付自転車――つまり、電動キックボード。LUUPを代表にシェアサービスもあちこちに登場して、16歳以上なら免許なしで乗れるようになったのはいいけれど……とにかく、ルール無視とマナーの悪さが目立ちすぎる! 制度として本当にこれでよかったの? ベストカーとして、ここは一発喝を入れたい!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb、Adobestock(トップ写真=WATA3@Adobestock)

【画像ギャラリー】交通違反のデパートと化した電動キックボードの知っておきたいこと(5枚)

 編集部員も日々、仕事にプライベートにクルマで走り回っているが、電動キックボードの「おいおい!」な違反行為を見かけるのは日常茶飯事。テレビやネットニュースで報じられるケースを入れたら、もはや“違反の見本市”状態だ。

 酒気帯び運転に始まり、車道を逆走、自動車専用道路への侵入、歩道を20km/hモードのまま爆走、一時停止無視、信号無視、二人乗り、二段階右折の無視、蛇行運転……もうカオス!

 そもそも規制が緩和される前から「絶対に違反増えるよね」と言われていたのだから、「やっぱりな」と思ってる人も多いはず。

特定小型原動機付自転車は、原動機付自転車のうち、上記に示す要件のすべてに該当するものを指す(出典:国土交通省HP)

特定小型原動機付自転車に適用される道路運送車両の保安基準(出典:国土交通省HP)

 この現状、国会でもしっかり問題視されている。

 警察庁が2024年6月17日の参院内閣委員会で発表したデータによると、電動キックボード関連の交通違反の検挙数はなんと4万1246件!

 内訳を見ると、2024年の電動キックボード関連の事故が338件、違反検挙数が4万1246件。ちなみに、自転車関連では事故6万7531件、違反は5万1564件だった。

警察官はもっと積極的に取締るべきとの声が多いが、自転車を含めると、違反者が多すぎる現状も垣間見える(naka@Adobestock)

 総務省によれば、国内の自転車保有台数は約6800万台。一方で、電動キックボードの登録台数は2024年4月時点でたったの約2万2000台。立憲民主党の石垣のり子議員はこの数字を見て、「登録台数の1.8倍も違反があるのは多すぎる」とバッサリ。1台あたりの違反数が多すぎると警鐘を鳴らした。

 坂井学・国家公安委員長も対策強化の必要性を認めつつ、「法改正の時点では想定できなかった。今後も状況を注視したい」とのこと。

 ……って、いやいや! ベストカー含めて、そうなるってさんざん言ってきたでしょ!?

 努力義務にとどまっているヘルメット着用、交通ルールテストの導入など、対策は進んでいるようだが、「現実見えてる?」と問いかけたくなるのが正直なところだ。

 では、制度と批判の矢面に立たされているシェアサービス事業者、LUUPはどう考えているのか? ベストカーWebが直接問い合わせたところ、以下のような回答を得ることができた。

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 電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の違反状況について、警察庁に違反検挙数が掲載されていますが、通行区分違反(≒歩道走行)や信号無視、一時不停止といった、基本的な交通ルールが軽視されていることについて、とても残念に思い、重く受け止めています。

 何件が弊社サービスの利用者が関係したものなのかについては、詳細については承知しておりませんが、いずれにしてもこの数字を限りなくゼロにしていくため取り組んでいます。

 新たな安全対策として、LUUP独自の危険行動検知システム「LUDAS」に基づく警告・ペナルティ制度を4月下旬から開始いたしました。車両に搭載されたGPSで取得した利用者の移動経路データを用いて、利用者が対象の場所を走行したことを検知します。

 これにより、警察の取締りにたよらず交通違反や危険行為をLUUP独自に検知し、再発防止のために警告したり、ペナルティを科したりすることができるようになりました。

 また、LUUPの電動キックボード利用者全員に全問連続正解を義務付けている交通ルールテストについても、教育効果をさらに高めるべく、交通ルールテストの内容を強化し、全利用者を対象に再テストを義務付けました。・試験問題の追加:11問から14問へ問題数を増やし、一時停止や信号等に関する出題内容を追加しました。

・出題形式のランダム化:問題の出題順を都度ランダム化することで、回答の順番だけ暗記するような不正行為を防止し、より確実に交通ルールの理解を促します。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ここまで取り組んでいることは評価したいが、それでも違反がここまで多いという事実を前にすれば、「利用者のモラルに頼る」スタンスはもう限界なのかもしれない。

交通ルールテストに合格しても、道路交通法を守らないのでは意味がない。いかに形骸化させないかが重要だ(Tsubasa Mfg@Adobestock)

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