普及しない5Gミリ波より現実的? ソフトバンクらが6G向け“センチメートル波”の有用性を銀座で実証
ソフトバンクが11月19日に、6G時代を見据えた7GHz帯の電波であるセンチメートル波(波長が1~10cmの電波)の実証結果を公表した。6月から銀座(東京都中央区銀座4丁目から8丁目までの一部)で実施してきた7GHz帯の実験では、人や交通量の多い都市部でも良好なエリアカバレッジと安定した通信品質を確保できることを実証した。6Gで利用が想定される高い周波数帯は、広域をカバーできるのか、障害物に弱くならないのかといった不安がつきまとう。そうした不安に対して両社は証拠を示した形だ。 【画像】7GHz帯での通信速度結果
ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 ストラテジー&テクノロジー 技術戦略本部長 高岡晴生氏によれば、世界のモバイルトラフィックは2024年から2034年にかけて5倍から9倍に増加する見通しで、その伸びをけん引するのがAIだという。生成AIやAIエージェント、エッジでのAI推論など、常時接続を前提としたアプリケーションが増え、ネットワーク負荷が急増する。高岡氏は「現行の5Gネットワークがそのままでは早ければ2029~2030年に飽和し、あらゆるユースケースを支えきれなくなる可能性がある」ことを指摘する。 ソフトバンク 先端技術研究所 先端無線統括部 6G準備室室長 矢吹歩氏は、現在の5Gミリ波の普及を例に挙げ、「Sub6に近い7GHz帯は、ミリ波のような課題が少ない」とメリットを紹介する。Sub6に近い特性により端末普及やエリア確保の課題が少ないものの、6Gではさらに広帯域が必要になるため、追加の周波数確保が不可欠となり、各国・各地域で新しい帯域の検討が急速に進んでいる。 6Gの候補周波数として議論されている帯域は広いが、世界的に注目を集めているのが、いわゆる“ミッドバンド”と呼ばれる6.4~8.4GHz帯だ。特に7GHz帯は、Sub6に近い伝搬特性を持ちつつ、200~400MHzといった広帯域を確保しやすいことから、6G初期の“実装可能な広帯域”として期待が高い。「既存の5G技術を生かしながら広域をカバーできるという点で魅力が大きい」(矢吹氏)という。 日本ではFPU(映像制作向け無線帯域)や衛星通信との調整という課題が残るが、3事業者で200~300MHzの帯域を確保できる可能性があると見られている。世界的に注目されるミッドバンド(6.4~8.4GHz)は、Sub6に近い伝搬特性を持ちながら、200~400MHzの広帯域を確保しやすく、6G初期の「実装可能な広帯域」として期待される。「既存の5G技術を生かしつつ広域をカバーできる点で魅力が大きい」と矢吹氏は評価する。