来週の円は上昇へ、日銀利上げ期待とトランプ氏政策警戒-146円台も
来週の円相場は上昇しそうだ。国内の賃金統計や2025年春闘の高い賃上げ率が日本銀行の利上げ期待を高め、円高の流れが継続する見込み。トランプ米政権の関税政策を巡る不確実性が金融市場で嫌気されており、リスク回避の円買いにも傾きやすい。
市場関係者の見方
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト
- トレンドは円高方向で、急激に進む感じではないがじりじりと円が切り上がっていく
- 来週は米国の物価統計より、国内の毎月勤労統計や春闘回答結果など賃上げが焦点になる
- 米国政府から不意打ちの円安批判が出てくることも警戒され、相互関税の発動を控えた3月は政治的に円高リスクがある
- 円は昨年9月の高値1ドル=139円58銭から1月の安値158円87銭までの下落幅の61.8%(フィボナッチ係数)戻しとなる146円95銭を目指すとみており、145円台から150円台のレンジを想定している
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- トランプ政策の不確実性がネガティブな方向に働いてきており、ドルの見通しは下値を切り下げざるを得ない
- トランプ大統領の「ディール」による緊張と緩和の繰り返しが国際社会や米国内に不信感を与えており、株安が市場心理を冷やしている
- 日銀が3月の決定会合で利上げに踏み切るのは難しいが、次回以降の利上げを示唆する可能性があるのではないか
- 来週は146円台後半から149円台後半のレンジでみているが、146円台前半まで円が買われる場面があってもおかしくない
週間予想
(ブルームバーグ為替レート予想モデル)
1ドル=144円64銭-150円25銭 1週間物予想変動率 13.6000% 1週間物リスクリバーサル 1.7225%の円コールオーバー来週の主な予定
- 10日:1月の毎月勤労統計
- 11日:24年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値
- 11日:1月の米求人件数
- 12日:2月の国内企業物価指数
- 12日:2月の米消費者物価指数(CPI)、米国の鉄鋼・アルミニウム関税が発効
- 13日:2月の米生産者物価指数(PPI)
- 14日:連合が25年春闘の第1回回答集計結果を発表
- 14日:3月の米ミシガン大学消費者マインド指数
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