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チームレポート
8月13日、「第12回 BFA U15アジア選手権」(台湾・台南市で8月17日から23日)に出場する侍ジャパンU-15代表の直前合宿2日目が専修大野球場で行われ、今夏の神奈川大会準優勝の東海大相模高と対戦した。
前日の初練習を経て、この日は初の実戦。相手は昨夏の甲子園8強、今夏の神奈川大会準優勝の東海大相模高。侍ジャパンU-18代表候補の中村龍之介や2022年の侍ジャパンU-15代表だった金本貫汰ら3年生を揃えた今夏のベストメンバーとの対戦となった。 井端弘和監督は選手たちに「高野連のご厚意で、高校生と今やれることは貴重。相手も万全の準備をしてくれているので感謝の気持ちを持って戦いましょう」と話すとともに、「打てるボールはどんどん積極的に打っていこう」と求めていたとあって、選手たちも臆することなく果敢にスイングしていった。
1回表、神奈川大会決勝でも先発した菅野悠を相手に、U-15代表打線は村橋照平(狭山西武ボーイズ)のレフトオーバーの二塁打で先制に成功した。さらに2回表には、倉田雄星(湖南ボーイズ)、小山蓮心(狭山西武ボーイズ)、中島辰徳(熊本泗水ボーイズ)、岡田宗一郎(豊田リトルシニア)、丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)、舩山大翔(東名古屋ボーイズ)の6連打やダブルスチールで5点を奪った。 一方で投手陣は先発の岡田、2番手の畠山颯志(明石ボーイズ)ともに高校生トップレベルの洗礼を浴びて4回までに12点を失った。それでも打線は5回に、四球と中島のセンター前安打、三浦大我(新宿ボーイズ)のライト前安打で1点を返し7点目を挙げた。だが、その裏は三浦が3失点を喫した。
6回表は四球などで満塁のチャンスを作り、代打で起用された岩下慶士(兵庫夙川ボーイズ)が力負けせずに振り抜き、ライト前に打球を落とした。しかし、三塁走者が判断を誤り本塁でフォースアウト。その後は相手外野手の好捕もあって、8得点目以降は奪えなかった。井端監督は「相手の主戦投手らから得点できたことは良かったです。ただ、やるべきことをやれていない場面がいくつかありました」と指摘。その点については主将の丹羽に選手たちで話し合うよう促した。
失点が目立った投手陣ではあったが、6回と7回は途中出場から捕手に入った岩下が好リード。ストレートで押しながらも変化球を時折混ぜて、三浦や梅村全(愛知尾州ボーイズ)もそれに応え、6回と7回を無失点に抑えた。 試合は7対15で敗れたが、7回で13安打を放つなど高いポテンシャルを感じさせる場面をいくつも作った。
その後すぐに行われた延長タイブレーク(無死一、二塁から再開)の練習では、村橋がこの日3安打目となるレフト前安打を放ってチャンスを拡大。ここで倉田が逆方向の左中間を深々と破る二塁打を放って2点を奪った。 その裏は梅村が2死二、三塁まで抑え、井端監督は中村を申告敬遠し金本勝負を選択。だが暴投で1点差に迫られると、金本が意地を見せるレフトオーバーの逆転サヨナラ打を放って試合終了。タイブレーク練習でも3対2と東海大相模高が貫禄を見せた。
貴重な練習試合を終え、井端監督は「2回に5点を取った時には少しだけ勝利に望みは持てましたが、そんなに甘くはないですね」と振り返り、「打撃はレベルの差を感じましたし、神奈川の頂点を争うチームですから、これが一流の選手だと分かったのは選手たちにとって良かったと思います」と、収穫を語った。また、野手ミーティングを丹羽に任せたことについて問われると「昨年、侍ジャパンを経験しているということは自分の教えを分かっていると思うので、しっかり伝えてくれるんじゃないかと期待しています」と信頼を明かした。 投手陣の課題としては「変化球が多いかなと思いました」と話す一方で「三浦や梅村あたりが非常に良かったですね」と、ストレートで押す投球を見せた両投手や捕手の岩下について称えた。
直前合宿最終日となる14日は、甲子園出場経験があり、神奈川大会の上位進出も多く、宗佑磨(オリックス)らを輩出した横浜隼人高と、10時半から綾瀬スポーツ公園第一野球場で対戦。「しっかり今日の課題を克服していきたいです」と井端監督が話すように、この日の経験も糧にして、大会前最後の実戦に臨む。
選手コメント
岩下慶士(兵庫夙川ボーイズ)
「代打で出たので1球目から振りに行こうと思っていました。高校生の速い球に詰まりながらもしっかり振り抜けて良かったです。(捕手としては)打者の立ち位置や表情を見ながら、打者の狙っている球を外そうと配球を考えました。投手が良かったので、抑えることができました」
三浦大我(新宿ボーイズ)
「中学生と違って高校生は威圧感が強かったです。(2イニング目の6回は無失点)5回はほとんどストレートで張られてしまいましたが、6回は変化球も使ってタイミングをずらして抑えることができました。インコースが甘めになったり、アウトコースが抜けてしまったりコントロールは課題ですが、6回にストレートで抑えられたことは自信になりました」
村橋照平(狭山西武ボーイズ)
「(チーム最多の3安打)相手投手の球が速かったので、詰まらないようにタイミングを早めに取りました。ストレートを張って、変化球に対応するイメージで打ちました。それぞれ打ったのはチェンジアップ、ストレート、カーブです。普段はサードやショートをしているので、ファーストの動きは中継の位置など含めて、これから詰めていきたいです。ファーストでの起用は井端監督に言ってもらっていたので、ずっと練習してきました。アジア選手権では誰よりも打ってMVPを獲りたいです」