浦和・興梠慎三が引退前に心境告白 プロ生活20年間は「究極の遊び」J1歴代2位の通算168発

 サッカーで、今季限りで現役引退する浦和の元日本代表FW興梠慎三(38)がこのほど、スポーツ報知などのインタビューに応じた。鹿島時代にはリーグ3連覇に貢献し、J1歴代2位の通算168得点など数々の記録を刻んだ。楽しみながら結果を追求した20年間を「究極の遊び」と表現。ラストマッチの8日・新潟戦(埼玉)でゴールを狙う。(取材・構成=星野 浩司)

 J1一筋、20年間の興梠のプロ人生のラストが迫る。

 「寂しいよりうれしい気持ちが強い。浦和でJリーグのタイトルを取れなかった悔しさはあるけど、全力でやってきたので、すがすがしい。サッカーは仕事ではなく、究極の遊びという感覚。楽しみながら結果にこだわってきた」

 通算168得点はJ1歴代2位。9年連続2ケタ得点など記録ずくめだった。

 「記録は誇れるところは何もない。得点でなく競争を勝ち抜いて試合に出続けられた自分を褒めたい。サッカーがうまいと思ったことは一度もない。1人で何もできないし、誰かがいて生きる。チームのために頑張ることを怠らなかったから結果がついてきた」

 小学生時代は野球に励み、憧れは当時巨人の“バント職人”川相昌弘。小5で始めたサッカーでも自身の活躍よりチームの勝利を最優先してきた。

 「松井秀喜さん、清原和博さんとか一発で点を取れる選手が好きな子が多かったけど、川相さんはすごく僕にとって目立ってた。チームのためにとはこういう人だと小さいながら感じてた。自分はこういう性格で結果がついてきて良かった」

 味方のパスに的確に動き出し、ゴール前で1~2タッチで得点を量産。「パスの出し手1人1人の癖を見極めて、信頼して走り続けることで結果に結びついた」。さらに、GKをあざ笑うような浮き球で仕留めるゴールも代名詞だ。

 「僕は相手をおちょくるようなプレーが好き(笑)。どんなシュート場面でもループが第一の選択肢にある。ゴール前でバカみたいに強いシュートを打つのではなく、時間がない中で1秒でも考えるのが大事。決めれば『うまいね』、外した時はボロクソ言われるけど、そのくらいの覚悟でやれよと若い選手に言ってる」

 大けがはなく、J1通算525試合は歴代7位の小笠原満男氏と並ぶ。8日の新潟戦はチケット完売。観客約5万2000人が見込まれる。

 「多くのファン・サポーターが入るあの雰囲気を最後に味わえるのは本当に幸せ。点を取ることを皆さんは求めてるけど、まずは勝つこと。そこに徹すれば、おのずと自分のゴールが取れる。勝って終わりたい」

 引退後は監督を志し、浦和で自身がかなわなかったリーグ優勝を目指す。

 「浦和レッズを常勝軍団にしたい。だから、僕は浦和レッズに一生いるつもりです。しっかり土台を作り、最終的には監督として指導するのが夢です」

 ◆興梠 慎三(こうろき・しんぞう)1986年7月31日、宮崎市生まれ。38歳。鵬翔高から2005年に鹿島入り。07年からリーグ3連覇。13年に浦和移籍。20年までJ1最長の9年連続2ケタ得点。17、23年のACL優勝に貢献。22年札幌に期限付き移籍し、昨年浦和復帰。J1通算525試合168得点。日本代表は08年初選出。16年にオーバーエージでリオ五輪出場。国際Aマッチ16試合0得点。175センチ、72キロ。

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