脳裏に焼き付く"悪夢"「怖かった」 頭部死球の残像…160キロ計測も21歳の告白

■日本ハム 2ー1 西武(14日・東京ドーム)

毎週金曜は無料で「DAZN」で野球観戦 「FRYDAY Baseball」今週のピックアップカードはこちら!

 西武・羽田慎之介投手が14日、東京ドームで行われた日本ハム戦の8回に登板し、野村佑希内野手への6球目で1軍公式試合では日本人左腕最速となる160キロを計測した。ファンも驚愕の剛球を披露した21歳だったが、試合後には意外な心境を吐露した。

 1点ビハインドの8回から登板。先頭の矢澤宏太投手に155キロ超を連発し、剛腕を発揮した。矢澤は四球で歩かせたが、清宮幸太郎内野手、フランミル・レイエス外野手を連続三振。打席に野村を迎えた。

「出るとは思っていなかったです」。フルカウントから投じた6球目。低めに外れた1球は160キロを記録。東京ドームはどよめきに包まれた。とはいえ四球で一、二塁とピンチを広げて降板。救援した甲斐野央投手が無失点で切り抜けた。

 すでに今季159キロをマークしていたが、それを更新する“大台”に乗せた。「球速以外にも、もちろんやらないといけないことばっかり。今日も途中交代しているので」。試合後は反省の言葉を口にした。

 実は緊張のマウンドだった。前回登板となった11日のロッテ戦では、安田尚憲内野手への頭部死球で危険球退場していた。安田は治療後にプレーを続行したが、羽田は直前の寺地隆成捕手に対してもユニホームをかすめる程度だったが死球を記録していた。

NPB最速の166キロへ「どうやれば出せるんだろう」

「怖かったです。普通に」。脳裏に焼き付いている死球の“残像”。まだ21歳で経験が浅い羽田にとって平常心を保つのは難しいマウンドだった。イニングを投げ切ることはできなかったが、競った展開で無失点で役目を終えたことは大きな一歩だった。

「この前、頭に当てたことはありましたけど、きょうはそれを払拭するじゃないけど、本当にいいボールを投げられていたので、そこはよかったと思います」。西口監督は“成長”を強調。羽田自身も目標としていた160キロに「嬉しかったです」と素直な気持ちも吐露した。

「160をクリアしたので、もっと見えないような数字は、どうやってやれば出せるんだろうみたいな。166キロとか見たら、また努力できると思うんです」。ビエイラ(巨人)が持つNPB最速も視野に入れている。「もっと出そうな感覚はないけど、自分の体の状態を見ると、まだ今後出せるとは思っています」。191センチ剛腕の未来は可能性に満ちている。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

関連記事: