【優勝会見一問一答】駒大・藤田敦史監督「負けてチームの絆が深まった」 谷中晴「必ず箱根では区間賞を」 伊藤蒼唯「攻めの5区の役割果たせた」/全日本大学駅伝

全日本大学駅伝で優勝した駒大。前列左から小山翔也、谷中晴、帰山侑大、安原海晴、伊藤蒼唯。後列左から藤田敦史監督、村上響、佐藤圭汰、山川拓馬、岩井貴生部長、大八木弘明総監督、松井寛翔主務(撮影・川並温美)

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全日本大学駅伝(2日、名古屋市熱田神宮―三重県伊勢市伊勢神宮=8区間106.8キロ)大学三大駅伝の第2戦。駒大が5時間6分53秒で2年ぶりに頂点に立ち、最多優勝記録を17に更新した。中大が2分1秒差の2位、青学大が2分35秒差の3位。8位の順大までが来年のシード権を獲得した。以下が駒大の優勝会見全文。

--大会を振り返って

藤田敦史監督「改めて今回の57回の全日本大学駅伝におきましては学生たちの頑張りがありまして、素晴らしい勝ち方をしてくれたと心から思っている。今回三大駅伝を迎えるにあたって学生たちから3冠を目指したいと話が出て、3冠を目標に掲げてスタートした。出雲は優勝目指した中で5位で、決して満足できる結果ではなく3冠も潰えてしまった状況ではあったが、主将の山川以下、ほかの選手たちが決してあきらめることなく、この全日本と箱根とまだ2冠できますよといってくれた。負けたことでチームの絆が深まってこの全日本を迎えることができたのが今回の優勝の要因の一つだと思う。私どもはこの全日本大学駅伝は非常に相性のいい大会。私が大学4年生の時に初優勝してから今回で17回目の優勝。相性がいい大会ということもあって、選手たちも自信を持って今回臨んだ。私の中では昨年、国学院大に負けていろんな過去勝ったチームがどういう区間配置をしているかなど研究をして、今回はエース格の伊藤(蒼唯)をあえて5区に配置して、そこをストロングポイントとして7区、8区の(佐藤)圭汰、山川(拓馬)につなげる構想を練っていた。実際にその通りに子供たちがしっかり頑張って優勝のゴールテープを切ってくれた。監督としてはうれしい限り。今後は箱根を目指しての強化になると思うが、箱根は別物の駅伝ととらえている。上り下りを作らないと箱根は勝てないのでそこの強化をしないといけない。これから11、12月となると感染症もはやってくる。体調管理も含めてチーム一丸となってまた取りに行きたい。きょうは優勝をしっかりみんなで喜んで次の一歩を踏み出したい。今回の優勝は選手たちの勝利で感謝したい。ここにいる選手だけではなくまだ寮に残っている選手にも力がある。次の箱根はチーム駒沢で、総合力で戦ってまた勝ちにいきたい」

1区の小山翔也(3年)「今回1区を任せて頂いて、自分の役割としては区間賞、もしくは1位と数秒差で来ることが役割だったのでそれを意識して走った。区間賞が目標だったがレースの経験のなさや力不足で区間4位で自分のふがいなさを感じた。その中でも2区以降がしっかりいい走りをしてくれて優勝することができたので、今度は自分が優勝を決める走りを1区以外でもどの区間でもしていきたい。今回優勝できたのは自分だけではなくて、走った選手もそうだが、補欠に回った選手や寮で応援してくれた選手、関係者のおかげで優勝できた。慢心せず、いろんな人への感謝を忘れずにやっていきたい」

2区の谷中晴(2年)「全体としてはチームとしては隙のない、力強いオーダーを組めて、選手一人ひとりが力を出し切れば必ず優勝できるだろうと思っていたので、しっかり理想的な展開で1区から流れを作って8区の山川さんで優勝できてすごくうれしい。個人としては2区を走って、信頼していただいているからこそ2区においていただけた。前半の1区で小山さんがいい流れで持ってきてくれたので、その流れを途絶えさせてはいけないと思った。チームのためにも区間上位で走りたいと思った。そういった中で区間3番で安心しているが、区間賞の楠岡(由浩、帝京大)さんに10秒以上差をつけられ、1年生の鈴木琉胤(早大)くんに引っ張ってもらう展開になったのは自分の力のなさ。最後もラストスパートで置いていかれて練習不足を感じた。箱根まであと2カ月くらいあるが、その中でもう一度自分に足りないところを見直して、必ず箱根では区間賞をとりたい」

3区の帰山侑大(4年)「今回優勝できて本当にうれしい。4年間、この部活で大学駅伝に励んできたが、初めて自分が走った大会で優勝できた。目標としていたことの一つでもあり、夢見てきたことで本当に今回の優勝をうれしく思う。個人の走りを振り返ると、4年生として区間賞で先頭でさらに後ろとの差を広げて渡すのが役割だったが、結果として国学院大に大きく詰められてしまい、秒差をつけて渡してあげられなかったのは自分の力のなさだったと思う。箱根に向けてまだ時間があるので、次こそはしっかり区間賞で優勝を目標に頑張っていく」

4区の安原海晴(3年)「まずはチームとして優勝できたことはうれしく思っている。個人的には中間点に行くまでに先頭集団から離されて、伊藤さんにいい位置で渡すことが自分の役割だったが、なかなかそれを果たすことができず、後続の選手に迷惑をかけてしまった。自分がもし区間賞争いの走りができていればチームとしても大会新記録も見えていた中だったので、自分のふがいない走りのせいでチームに迷惑をかけてしまって申し訳ない。自分のふがいない走りを後方の4人、特に伊藤さんの区間新の走りでカバーしていただいて感謝しかない。今回迷惑かけてしまった分は次の箱根や来年以降の駅伝で恩を返したい」

5区の伊藤蒼唯(4年)「チームとして2年ぶりに優勝できたことをうれしく思う。個人としてはつなぎの5区ではなく攻めの5区ということで配置をしていただいて、その与えられた役割をしっかり果たせた。区間賞をこれまであと一歩届かなかった部分もあったが、こうやってしっかり区間賞を取れて区間新のおまけつきで、自分にとっても最後価値があるものになった。これからチームとして2カ月間、箱根に練習を積んでいく中で、体調不良や故障に気を付けて最後1月3日、全員で笑って終われるようにしたい」

6区の村上響(3年)「チーム的には優勝できて率直にうれしい気持ち。前に伊藤さん、後ろに圭汰さん、山川さんがいてという状況で個人的にはリラックスして気楽に走れた。スタートしてから自分の持ち味である攻めの走りが、先頭だったが守りに入らずできた。攻めができたが区間2番で区間賞まであと2秒、悔しい気持ちが強い。箱根では区間賞を取って走って優勝に貢献して、4年生と笑顔で終われるようにできるような準備をしていきたい。選んでくれた監督と信じてくれた仲間たちがいたからこの結果があると思うので、感謝の気持ちを忘れずにしっかり次の大会に向けて準備をしていきたい」

7区の佐藤圭汰(4年)「チームとして優勝できたことはうれしいが、個人の走りがよくなかった。最低でも49分台を出して区間賞争いをすることだったが黒田(朝日、青学大)選手に1分差をつけられてふがいなくて悔しい気持ちでいっぱい。本格的なポイント練習やペース走を始めたのは10月くらい。練習自体はよくできたのでいい感じにいけると思ったが13キロくらいで一気に足が重くなって練習不足を痛感した。甘くないと感じた。ですがチームメートがしっかりと1位でタスキをつないでくれた。後ろと距離を縮められる形になったが、1位で山川に渡せたのは最低限の仕事は果たせたと思う。箱根は2カ月あるので、今回練習不足を痛感したので、2カ月しっかり練習を積んで、昨年悔しい思いをしているので、その悔しさを晴らせるように励んでいきたい」

8区の山川拓馬(4年)「チーム全体として昨年と今年の出雲駅伝で悔しい結果になってしまい、それのリベンジで絶対勝てる思った駅伝で勝てたことで一つ安心はあるが、チーム全体として先ほどまで各区間を走った選手からうれしさもありながら悔しさが言葉に出たのは箱根駅伝につながる。今回一人ひとりが自分の走りをしてくれたおかげで、自分のところに来るときには1位で後ろとも2分以上離して渡してくれて、自分の中でも自信を持って走れた。その中で56分台を目標にしていたが57分20秒以上かかったのは悔しさが残る。走った区間全員にいろんな悔しさがあると思うので、一人ひとり、また箱根駅伝で晴らして、今回メンバーにエントリーされて走れなかった人たちも力はあると思うので、箱根、全日本で2つ優勝を目指してまたやっていく」

--佐藤選手。けがから復帰する過程について

佐藤「今回、恥骨のけがが3回目ということで、このけがが正直治らなかったらと不安な気持ちでいっぱいでいろんなリハビリや治療にも行った。なかなか完全に違和感がなく走れる状態になるまですごく時間がかかった。何とか9月中旬からいい感じで復帰できて出雲はチームに貢献できなかったが全日本はめどが立ったので、しっかり走ってチームの優勝に貢献するぞという思いで過ごしていた」

--山川選手と伊藤選手。出雲以降、チームの結束力が高まった

山川「今までの駅伝は2番というところが多くて(出雲は)初めて5番という結果になってしまった。いくら拮抗していても5番は全員にとっても衝撃的だった。そこで危機感というか、このままだとだめだと気持ちが一人ひとりから伝わってきた。自分たちの中でも優勝を狙っての5番だったので、絶対このままではいけないと。その中で4年生が中心になって優勝を取りにいこうとなって、今回5番でも次は優勝できるという気持ちが一人ひとりあった。チーム全体としいての意識や力が上がっていった」

伊藤「出雲が5番という結果で総合順位は悔しいところはあったが、個人の順位を見ると2番が4人。うまくいった点もあったので、そこをしっかり伸ばしていくところと、大砲の佐藤圭汰が戻ってくる。3年生以下もめどが立ちそうだったのでこれは優勝が狙えるぞと、出雲からの3週間を過ごしてきた。めどが立ってもどれくらいいけるかなと思っていたが、予想以上に2、3年がしっかり走ってくれて、その頑張りを4年生も無駄にできないので、その気持ちでしっかり優勝できた。出雲からの立て直しがはかれた」

--練習の中で2、3年生の変化を感じた

伊藤「全日本大学駅伝直前のポイント練習でもかなりの人数が上のクラスで消化できたり、ジョグの質、ペースが上がったり、日頃の小さな積み重ねから出雲の時と比べてかなり消化率など状況がよくなってきたので優勝をしっかり狙おうという思いがあった」

--藤田監督。5区がどういう区間と分析した

藤田監督「5区は例年、私たちのチームの中では7、8番目の選手を使うことが多かったが、昨年の大会を経験して国学院大が5区野中(恒亨)くん、6区山本(歩夢)くんで一気に上に上がった。私たちの大学もそこをしっかりしのぐことができたが、7区篠原(倖太朗)、8区山川でも優勝には届かなかった。全日本で勝つには何が必要かと考えた時に、出雲のように途中で流れを切ることなく各区間5番以内を目指そうと。5番以内で前半をしのいで5区のポイントで一度仕上げ、7、8区の圭汰と山川で勝負するイメージを持った。選手にも相談しながら準備を進めていた。実際今日のレースになった時、1区の小山、2区の谷中、3区の帰山が思うようなレースをしてくれた。4区の海晴は自分でも離れてしまって申し訳ありませんといっていたが、その中でも遅れはしたが踏みとどまる走りができた。それで伊藤の爆発的な走りが生まれた。私が考えている戦略と学生たちがレースを進めていく流れがマッチした結果。私の中でも非常に強い勝ち方ができたと感じている」

--山川選手。時計をしないが、どういったものを目安にしているか

山川「時計をつけない理由としては時計をみるとタイムにとらわれるのがある。自分の感覚で走るのが自分の走り。どうしても時計に左右されてしまう。自分の感覚とときどきレースの前は沿道から後ろと何秒差を教えてくださったりするのでそこを聞いてという形」

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