フォックスコン、インドのiPhone工場から中国人技術者引き揚げ

Sankalp Phartiyal、Debby Wu、Mark Gurman

  • 製造技術の国外移転防ぐ、中国政府の取り組みの可能性
  • アップル、インドでの製造拡大中-世界生産の5分の1担う

iPhoneを受託生産する台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループが、インド工場駐在の数百人の中国人技術者やエンジニアに帰国を命じていることが、事情に詳しい関係者の話で分かった。南アジアでの製造拠点拡大を目指すアップルに打撃となっている。

  匿名を条件に語った関係者によると、南インドにあるiPhone工場の中国人スタッフの大半は、約2カ月前から順次帰国するよう指示を受けており、すでに300人以上がインドを離れた。現在インドに残っているのは、主に台湾からの支援スタッフだという。

  フォックスコンはアップルの最大のiPhone受注生産者で、帰国の理由は明らかになっていない。ブルームバーグ・ニュースは以前、中国政府が製造業の国外移転を防ぐ試みの一環として、規制当局や地方政府に対し、インドや東南アジアへの技術移転や装置輸出の抑制を口頭で促していたと報じた

  アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、中国に製造拠点を集中させるのは、単にコスト面だけでなく、組み立て労働者の技術力と専門知識を高く評価しているためだと強調してきた。関係者の1人によると、中国人スタッフの退去は製品の品質には影響しないが、製造ラインの効率に悪影響を及ぼす可能性が高い。

  アップルは現在、インドの製造パートナーと共に次期モデル「iPhone 17」の生産本格化の準備を進めている最中で、人員の引き揚げは好ましくないタイミングだ。

  アップルの広報担当者はコメントを控え、フォックスコンもメールでの取材依頼に応じなかった。

  フォックスコンはiPhoneの大半を中国で製造しているが、近年、インドにも大規模な組み立て拠点を築いている。その過程で、多数の熟練した中国人技術者をインドに派遣し、事業拡大のスピードを加速させてきた。中国人マネジャーらは、インドのスタッフ教育で重要な役割を果たしている。

  インドでのiPhoneの大規模な組み立てが始まったのは4年前だが、現在では世界の生産台数の5分の1を担うまでになっている。アップルは、2026年末までに米国向けiPhoneの大半をインドで製造する計画だ。

原題:Foxconn Pulls Chinese Staff From India in Hurdle for Apple(抜粋)

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