日本のトマホーク取得に深刻な遅れ、納入遅延は最大2年になる見通し
Bloombergは先月「日本へのトマホーク納入が遅れる」と報じたが、Financial Timesも23日「米国は対イラン作戦で消耗した武器備蓄回復を優先しているため、日本へのトマホーク納入に深刻な遅延が生じる見通しだと通達した」と報じ、トマホーク納入遅延は最大2年になるらしい。
参考:US warns Japan of severe delays in Tomahawk deliveries due to Iran war
日本は反撃能力を確保するため事実上の国産巡航ミサイル「12式地対艦誘導弾・能力向上型(地発型、艦発型、空発型)」の開発・配備とトマホーク取得を並行して進めており、2027年度までにトマホーク計400発(Block IV×200発とBlock V×200発)を取得する予定で、小泉進次郎防衛相は3月13日の会見で「海上自衛隊へのトマホーク納入が始まった」と明かしたが、Bloombergは4月3日「日本へのトマホーク納入が遅れる」と報じたことがある。
【3月27日 小泉防衛大臣会見】
冒頭、自衛官が在京中国大使館の敷地内に侵入し逮捕された事案、護衛艦「ちょうかい」のトマホーク発射能力の獲得、小泉大臣の硫黄島訪問について発表しました。
その他、 ○部隊などの配備 ○海上自衛隊の掃海能力
○スタンド・オフ防衛能力…
— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) March 27, 2026
Bloombergは「米国は対イラン作戦=エピック・フューリー作戦で数百発のトマホークを消耗した」「米国は日本にトマホークの納入が遅れると伝えた」「米国はイラン戦争に必要な物資確保を最優先事項としている」「3月中旬に小泉防衛相とヘグセス国防長官は電話会談を2回行い、公式声明ではイラン情勢について協議を行いトマホーク供給については触れていないが、実際には電話会談でトマホーク供給問題が話し合われた」「米国がトマホーク備蓄の補充を優先させれば同盟国やパートナー国は影響を受けるだろう」と報じ、この報道について国防総省や防衛省はコメントを拒否していた。
Financial Timesは23日「米国は対イラン作戦で大幅に減少した武器備蓄の回復を優先しているため、日本へのトマホーク納入に深刻な遅延が生じる見通しだと通達した」「協議に詳しい複数の関係者によれば、ヘグセス国防長官は今月初旬に行われた電話会談で小泉防衛相にトマホークの納入遅延について直接伝達したという」「米政権高官らがアジア優先を繰り返し約束してきたにもかかわらず、国防総省は中東を優先せざるを得なくなっている」「アジアの同盟国やパートナーはイラン戦争終結後も長期に渡ってその余波を受け続けることになる」と報じた。
【護衛艦「ちょうかい」がトマホーク発射能力を獲得💪】 アメリカへ派遣中の護衛艦 #ちょうかい は、必要な艦艇の改修や乗員訓練を無事に完了し、トマホーク発射能力を獲得しました☝
今後、本年夏頃までに、実射試験などを通じ、乗員の練度を含め、実際の任務に従事できることを確認する予定です。… https://t.co/fNeG46vVwV pic.twitter.com/ykT9Dk71wM
— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) March 27, 2026
米国が日本に通達したトマホーク納入遅延は最大2年で、インド太平洋安全保障研究所の辰巳由紀氏は「安全保障関連3文書と防衛政策の改定を控える日本にとってトマホーク納入遅延は『相当深刻な問題』をもたらすだろう」「現計画はスケジュール通りのトマホーク受領を前提に構築されている」「現在進められている見直しではトマホーク取得数の引き上げも視野に入っていたはずだ」「これは日本の抑止力強化の取り組みに不可欠なピースなのだ」と指摘。
キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司氏も「中国が日本国内の標的を攻撃可能な長距離ミサイルを2,000発以上も保有しているのに、日本にはこれに相当する装備がほぼ皆無であるため、トマホークの存在は極めて重要だ」「日本が現在構築している反撃能力の目的は日中のミサイルギャップを埋めることで、その中心的な役割をトマホークが担っている」「トマホーク納入遅延は日米共同の対中抑止力をほぼ確実に弱体化させるだろう」と指摘し、辰巳氏も峯村氏も「日本は国産の長射程ミサイルの開発・量産化プロセスのさらなる前倒しや加速に迫られる」との見方を示している。
防衛省・自衛隊は、我が国への侵攻部隊を早期・遠方で阻止・排除するためスタンド・オフ防衛能力を強化し、この能力を早期に構築するため12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)について発射試験を行い、本試験において飛しょう等が予定どおり確認されました。https://t.co/MH2P93LLQZ pic.twitter.com/zYveXgru1B
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) December 19, 2025
ちなみに日本が対外有償軍事援助(FMS)で調達するトマホークの納入が遅延しても補償は一切なく、納入遅延によって日本向けのトマホーク生産コスト(価格変動やインフレ率の反映)が増加しても、そのコストは日本が負担しなければならない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Sunderman/Released