2050年ネットゼロ達成は「不可能」、真実伝える必要-英保守党党首

Alex Morales、Olivia Rudgard

  • ベーデノック党首は昨年の総選挙で右派に奪われた票の奪還図る
  • 環境団体やリフォームUKのファラージ党首は発言を批判

英国の最大野党・保守党のベーデノック党首は18日、英国で2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにするのは不可能だと述べた。主要政党のコンセンサスと異なる見解を示した。

  ベーデノック氏は演説で、英国には今後25年で「ネットゼロ」目標を達成する実行可能な計画はないとし、現行政策は消費者のエネルギーコストを押し上げるだけだと指摘。有権者の信頼を取り戻すには「ありのままの真実」を語るしかないと話した。

  その上で「50年までのネットゼロ達成は不可能だ」と断言し、「真剣な分析を行った人なら誰でも、生活水準の大幅低下ないし生活の破綻なしには達成できないことは分かっているはずだ」と語った。

  ベーデノック氏は、昨年の総選挙で右派政党「リフォームUK」に奪われた票の奪還を図っている。リフォームUKを率いるナイジェル・ファラージ氏はネットゼロ目標に繰り返し反対を表明してきた。 19年に法制化された同目標は24年まで14年間政権を担った保守党と、政権交代を果たした労働党の双方の支持を得てきた。

  自由民主党や緑の党などの少数政党も同目標を支持している。

  環境団体や再生可能エネルギー推進団体はベーデノック氏の今回の発言を批判。ファラージ氏は、気候変動法をこれまで支持していたベーデノック氏を「偽善者」と非難し、発言は「世論調査で低迷する党首と政党の窮余の一策」と評した。

  ベーデノック氏は、エネルギーコストを抑えつつ、人間が環境に及ぼす影響を減らそうとするのは「どちらも崇高な目標」だが、現状の政策は「あまりにも大きいコストと乏しい進展」につながっていると述べ、自らの発言のトーンダウンを図った。

原題:Net Zero by 2050 Is ‘Impossible,’ UK Tory Leader Says (1)(抜粋)

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